不倫慰謝料の金額が最も高額になるのは、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。
不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合の裁判例には、既に離婚が成立している場合の裁判例と、未だ離婚が成立していない場合の裁判例があります。
この記事では、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうち、既に離婚が成立している場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
2022.04.18
不倫慰謝料
不倫慰謝料の金額が最も高額になるのは、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。
不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合の裁判例には、既に離婚が成立している場合の裁判例と、未だ離婚が成立していない場合の裁判例があります。
この記事では、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうち、既に離婚が成立している場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
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不倫とは配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすることいい、法律上は「不貞」と言います。
不倫された妻・夫が被った損害が大きい場合には不倫慰謝料の金額は高額になります。
そして、不倫された妻・夫が被った損害が最も大きい場合とは、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。
この場合の不倫慰謝料の相場金額(裁判所が認めている金額)は、150万円〜300万円程度となる場合が多いです。
ただし、具体的に裁判所が認める不倫慰謝料の金額は、個別具体的な増減事由によりかなりの幅があり、上記相場以上の金額が認められているケースも数多く存在しています。
また、不倫した配偶者との間での離婚問題と、不倫相手に対する慰謝料を巡る争いが別に進む場合も多いです。
そのため、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合の不倫慰謝料請求訴訟の裁判例には、以下の2通りが存在しています。
この記事では、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうち、①既に離婚が成立している場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
なお、夫婦が同居を続けた場合の不倫慰謝料の相場金額に関しては、【【不倫慰謝料の相場】夫婦が同居を続けた場合に裁判所が認めている金額】をご確認ください。
(⑴-1)慰謝料50万円(東京地裁平成21年6月4日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
50万円
(⑴-2)慰謝料50万円(東京地裁平成21年9月28日判決)
妻から、夫と不貞行為した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
50万円
(⑴-3)慰謝料60万円(東京地裁平成21年8月31日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
60万円
(⑴-4)慰謝料70万円(東京地裁平成23年2月24日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
70万円
(⑴-5)慰謝料80万円(東京地裁平成22年1月27日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
80万円
(⑵-1)慰謝料100万円(東京地裁平成22年12月22日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
70万円
(⑵-2)慰謝料100万円(東京地裁平成22年2月3日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-3)慰謝料100万円(東京地裁平成24年7月31日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-4)慰謝料100万円(東京地裁平成28年6月30日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-5)慰謝料140万円(東京地裁平成22年7月28日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
140万円
(⑵-6)慰謝料150万円(東京地裁平成19年9月14日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-7)慰謝料150万円(東京地裁平成20年10月28日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-8)慰謝料150万円(東京地裁平成21年12月22日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
※ただし、夫から受け取った50万円を既払金として差し引いている
(⑵-9)慰謝料150万円(東京地裁平成22年12月21日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-10)慰謝料150万円(東京地裁平成24年11月22日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-11)慰謝料150万円(東京地裁平成21年4月20日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑶-1)慰謝料170万円(東京地裁平成22年9月9日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
170万円
(⑶-2)慰謝料200万円(東京地裁平成19年2月21日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
130万円
※ただし、妻から受け取った70万円を既払金として差し引いている
(⑶-3)慰謝料200万円(東京地裁平成21年3月27日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-4)慰謝料300万円(東京地裁平成27年1月30日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-5)慰謝料350万円(東京地裁平成21年11月26日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
350万円
※ただし、妻から受け取った300万円を既払金として差し引いている
(⑶-6)慰謝料350万円(東京地裁平成21年5月13日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
350万円
不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻して離婚が成立している場合は、その離婚の際に取り決められた離婚に伴う慰謝料が既に支払われている場合があります。
この場合は、既に支払われている慰謝料の金額分は、不倫の相手に対して二重に請求することはできません。
具体例で説明
⚫︎事例
夫は、女性Aとの不倫関係が妻に発覚し、妻から離婚を求められてそれに応じ、離婚した。
夫は、妻に対して、離婚の際に、不倫の慰謝料として300万円を支払った。
その後、妻は、夫と不倫した女性Aに対して、不倫の慰謝料を請求する損害賠償請求訴訟を提起した。
⚫︎解説
この場合、裁判所は、妻の女性Aに対する慰謝料請求権は、既に夫から300万円分は支払ってもらっていると判断します。
そのため、妻の女性Aに対する慰謝料請求権が総額で300万円以下であれば、妻の女性Aに対する請求は認められないという結論となります。
そのため、離婚に伴って支払ってもらったお金の性質が「不倫の慰謝料」であるのか、それとも財産分与・離婚後の生活扶助・子どもの教育資金の援助などの「不倫の慰謝料」以外の性質を有するものなのかが争われる場合があります。
また、逆に離婚に伴って「不倫の慰謝料」を支払ってもらっていないとした場合は、不倫をした配偶者に対して「不倫の慰謝料」を請求していない理由が問題となる場合があります。
なぜなら、裁判所は、不倫により婚姻関係が破綻したことに対する主たる責任は配偶者に対して貞操義務(他の異性と性的な結合関係を結ばないという義務)を負っている者(夫・妻)にあり、不倫相手の責任は副次的なものにとどまるとの考えから、その主たる責任を負っている者(夫・妻)に対して「不倫の慰謝料」を請求していない場合には、そのことを不倫慰謝料の減額事由として考慮する場合があるからです。
不倫の責任論からの不倫慰謝料の減額
不倫した妻・夫 | →主たる責任がある |
不倫相手 | →副次的な責任があるにすぎない |
↓
主たる責任がある妻・夫に対して「不倫の慰謝料」の請求をする意思がなかったり、既に請求ができない状況であったりすることが、副次的な責任を負うにすぎない不倫相手に対する「不倫の慰謝料」の減額事由とされる場合がある
このような不倫の慰謝料の減額事由は、②婚姻関係が破綻しているものの未だ離婚が成立していない場合には通常問題となりません。
そのため、①婚姻関係が破綻しており既に離婚が成立している場合の裁判例の方が、②婚姻関係が破綻しているものの未だ離婚が成立していない場合の裁判例よりも、一般的に認められている不倫の慰謝料の金額は少額にとどまる傾向があります。
不倫慰謝料の金額にはおおよその相場金額はありますが、個別具体的な事情次第では、実際に自分の場合にその相場金額通りの判断がされる保証はありません。
また、不倫慰謝料の争いは、大部分が裁判に至る前に話し合い(交渉)でまとまることが多いところ、話し合い(交渉)で合意が成立している不倫慰謝料の金額は、裁判所が認めた不倫慰謝料の金額以上に幅があります。
レイスター法律事務所では、無料法律相談において個別具体的な事情に基づいて、想定される不倫慰謝料の具体的な金額の幅について、交渉にて解決した場合と裁判の判決に至った場合とに分けて、できる限り具体的にお伝えしていますので、是非ご利用ください。
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