不倫慰謝料の金額が最も高額になるのは、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。
その中でも、未だ離婚が成立していない場合の裁判例が、最も高額の不倫慰謝料が認められる傾向があります。
この記事では、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうちの、未だ離婚が成立していない場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
2022.04.20
不倫慰謝料
不倫慰謝料の金額が最も高額になるのは、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。
その中でも、未だ離婚が成立していない場合の裁判例が、最も高額の不倫慰謝料が認められる傾向があります。
この記事では、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうちの、未だ離婚が成立していない場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
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不倫とは配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすることいい、法律上は「不貞」と言います。
不倫慰謝料の金額は不倫された妻・夫が被った損害が大きいほど高額となります。
そのため、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合が、最も高額の不倫慰謝料が認められています。
不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合の不倫慰謝料請求訴訟の裁判例には、以下の2通りが存在しています。
ここで、①「既に離婚が成立している場合」は、不倫した配偶者に対する関係での不倫慰謝料の請求の状況によって、以下の減額事由が存在している場合が多いです。
既に離婚している場合に問題となる不倫慰謝料の減額事由
離婚の際に不倫慰謝料に関する取り決めがある場合
・既に不倫慰謝料の支払いを受けている場合
→既に支払いを受けた不倫慰謝料の金額分だけ、請求できる不倫慰謝料の金額が減額になる
・未だ不倫慰謝料の支払いを受けていない場合
→不倫した配偶者との間で不倫慰謝料の支払いの取り決めがあること自体が、不倫慰謝料を減額する方向に考慮される場合がある
不倫した配偶者に対して不倫慰謝料を請求しない場合
→不倫した配偶者に対して不倫慰謝料を請求しないこと自体が、不倫慰謝料の減額事由と扱われることがある
他方、②「未だ離婚が成立していない場合」であれば、このような不倫の慰謝料の減額事由は問題となる場合が少ないです。
そのため、①婚姻関係が破綻しており既に離婚が成立している場合の裁判例よりも、②婚姻関係が破綻しているものの未だ離婚が成立していない場合の裁判例の方が、一般的に認められている不倫の慰謝料の金額は高額になる傾向があります。
この記事では、不倫が原因で不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻した場合のうちの、②未だ離婚が成立していない場合の裁判例を紹介しながら、その場合の不倫された妻・夫から不倫相手に対する慰謝料の相場金額と慰謝料の増減事由を説明します。
(⑴-1)慰謝料30万円(東京地裁平成21年11月26日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
30万円
(⑴-2)慰謝料40万円(東京地裁平成22年11月26日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
40万円
(⑴-3)慰謝料70万円(東京地裁平成22年2月1日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
70万円
(⑴-4)慰謝料80万円(東京地裁平成21年1月27日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
80万円
(⑴-5)慰謝料90万円(東京地裁平成27年9月8日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
90万円
(⑵-1)慰謝料100万円(東京地裁平成20年12月26日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-2)慰謝料100万円(東京地裁平成21年11月17日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-3)慰謝料100万円(東京地裁平成19年3月30日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
100万円
(⑵-4)慰謝料120万円(東京地裁平成21年4月23日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
120万円
(⑵-5)慰謝料120万円(東京地裁平成19年5月10日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
120万円
(⑵-6)慰謝料120万円(東京裁平成21年7月23日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
120万円
(⑵-7)慰謝料120万円(東京地裁平成22年2月23日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
120万円
(⑵-8)慰謝料120万円(東京地裁平成22年7月28日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
120万円
(⑵-9)慰謝料130万円(東京地裁平成19年10月17日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
130万円
(⑵-10)慰謝料130万円(東京地裁平成23年5月16日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
130万円
(⑵-11)慰謝料140万円(東京地裁平成28年1月27日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
140万円
(⑵-12)慰謝料150万円(東京地裁平成21年12月22日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-13)慰謝料150万円(東京地裁平成23年6月16日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-14)慰謝料150万円(東京地裁平成21年9月10日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-15)慰謝料150万円(東京地裁平成21年12月28日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑵-16)慰謝料150万円(東京地裁平成24年7月24日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
150万円
(⑶-1)慰謝料170万円(東京地裁平成24年6月19日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
170万円
(⑶-2)慰謝料180万円(東京地裁平成21年11月18日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
180万円
(⑶-3)慰謝料180万円(東京地裁平成22年12月21日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
180万円
(⑶-4)慰謝料180万円(東京地裁平成23年3月17日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
180万円
(⑶-5)慰謝料180万円(東京地裁平成26年12月4日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
180万円
(⑶-6)慰謝料200万円(東京地裁平成22年11月30日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-7)慰謝料200万円(東京地裁平成19年4月24日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-8)慰謝料200万円(東京地裁平成19年8月24日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-9)慰謝料200万円(東京地裁平成21年6月22日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-10)慰謝料200万円(東京地裁平成28年5月18日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-11)慰謝料200万円(東京地裁平成21年2月27日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-12)慰謝料200万円(東京地裁平成21年6月10日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-13)慰謝料200万円(東京地裁平成22年1月29日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-14)慰謝料200万円(東京地裁平成25年5月30日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
200万円
(⑶-15)慰謝料250万円(東京地裁平成21年11月25日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
250万円
(⑶-16)慰謝料150万円(東京地裁平成21年7月23日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
250万円
(⑶-17)慰謝料250万円(東京地裁平成22年3月4日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
250万円
(⑶-18)慰謝料300万円(東京地裁平成19年4月5日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-19)慰謝料300万円(東京地裁平成22年12月9日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-20)慰謝料300万円(東京地裁平成23年2月22日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-21)慰謝料300万円(東京地裁平成20年6月17日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-22)慰謝料300万円(東京地裁平成22年1月26日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-23)慰謝料300万円(東京地裁平成22年4月5日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-24)慰謝料300万円(東京地裁平成22年7月8日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-25)慰謝料300万円(東京地裁平成23年3月25日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-26)慰謝料300万円(東京地裁平成26年5月19日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-27)慰謝料300万円(東京地裁平成27年5月27日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
300万円
(⑶-28)慰謝料400万円(東京地裁平成22年10月7日判決)
夫から、妻と不貞した男性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
400万円
(⑶-29)慰謝料400万円(東京地裁平成21年3月11日判決)
妻から、夫と不貞した女性に対する慰謝料請求
慰謝料金額に影響を与えた主なポイント
認められた慰謝料の金額
400万円
裁判所は、一般的な傾向としては、以下の事情があるケースでは、高額な不倫慰謝料を認める可能性が高まります。
高額の不倫慰謝料が認められる可能性があるケース
他方、裁判所は、一般的な傾向としては、以下の事情があるケースでは、不倫慰謝料が減額される傾向があります。
不倫慰謝料が減額される可能性があるケース
ただ、裁判所は、実際には、上記の事情以外にも実に様々な事情を拾い上げて不倫慰謝料の金額の増減を調整しています。
時には意外な事情や、本来であれば不倫慰謝料の金額の増減事由とは一般的に考えられていないような事情を拾い上げて不倫慰謝料の金額の増減を調整していることもありますし、なんでこの事例がこの不倫慰謝料金額となったのかが不明としか言いようのない場合もあります。
また、当事者にとってとても納得できないような不倫慰謝料の増額・減額事由も見られます。
例えば、不倫慰謝料を不倫相手のみに請求すること(不倫をした配偶者に対しては請求しないこと)が不倫慰謝料の減額事由とされてしまうとなれば、人生の選択肢がとても窮屈なものになってしまいます。
事例で説明
●事例
●不都合性
裁判所は、不倫により婚姻関係が破綻したことに対する主たる責任は配偶者に対して貞操義務(他の異性と性的な結合関係を結ばないという義務)を負っている妻にあり、不倫相手の責任は副次的なものにとどまるにも関わらず、夫が妻に対しては不倫慰謝料請求をしていないという事情を、夫のA男に対する不倫慰謝料の減額事由として考慮してくる場合があります。
そうなるならば、夫としては、結局、A男に対して本来請求し得る水準の不倫慰謝料を請求するためには、幼い子ども2人の離婚後の生活をかえりみず、妻に対してA男と同水準以上の不倫慰謝料を請求しなければならない(扶養的な財産分与などをすることも不倫慰謝料請求の算定上マイナスに考慮されてしまう可能性があるためできない)ということとなりかねません。
しかしながら、裁判所は基本的に法律論(担当裁判官がそうだと考えている法律論)に基づいて容赦無く判決を出しますし、実際にどのような内容の判決が出るのかは実際に判決が出るまで分かりません。
そのため、裁判に至る前の不倫慰謝料の話し合い(交渉)の際にも、最終的に裁判所が認めるであろう金額を指針の一つとしつつも、その裁判所が認めるであろう金額には大きな幅があり得るということを念頭におくことが必要です。
また、話し合い(交渉)では、裁判では(法律論としては)不倫慰謝料金額の増減事由とはおよそなり得ないような事情・極めてプライベートな事情・経済的な事情・今後の人生設計などに関する事情などの事情も含め、請求者側の事情も被請求者側の事情も実に様々な事情を検討する必要があります。
そのため、話し合い(交渉)において合意が成立するであろうと想定される不倫慰謝料の金額は、裁判における慰謝料の相場金額の幅よりもさらに個別具体的な事情により大きく差が出てくるものであり、話し合い(交渉)の進め方など次第で最終的な合意金額にも大きな差が出てきます。
レイスター法律事務所では、無料法律相談において個別具体的な事情に基づいて、想定される不倫慰謝料の具体的な金額の幅について、交渉にて解決した場合と裁判の判決に至った場合とに分けて、できる限り具体的にお伝えしていますので、是非ご利用ください。
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