夫と離婚したい!離婚の理由は夫が嫌いだから!
夫と離婚したいと考える理由は、何十年も前から「性格の不一致」(性格が合わない)との理由が最多数となっています。
ただ、夫と離婚したいと思い、夫に離婚を切り出しても、夫がどうしても離婚してくれない場合もあります。
離婚調停を実施してもなお夫が離婚に合意しない場合には、離婚裁判を提起して、裁判所に離婚判決を出してもらう必要があります。
離婚裁判では、裁判所に、夫との間の「性格の不一致」などのために「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在していることを分かってもらえれば、離婚判決が出され、離婚が成立します。
この記事では、夫と離婚したいけれど夫にこれといった非がなかったり、明確な離婚の理由がない場合に、「性格の不一致」という離婚の理由で夫と離婚する方法を詳細に解説します。
1.離婚したい理由は「性格の不一致」が最多数

司法統計によると、離婚したいと考える理由は何十年も前から「性格の不一致」(性格が合わない)が最多数となっています。
最新の司法統計(令和2年度)でも、夫と離婚したい妻の約37.5%、妻と離婚したい夫の約59.6%が「性格の不一致」(性格が合わない)との理由で離婚したいと考え、離婚調停を申し立てています。
このように、多くの夫婦は「性格の不一致」という離婚の理由で離婚しています。
2.性格の不一致とは?
夫婦は、共同生活を重ねる中で、日常的な多種多様な意思の疎通やすれ違いの擦り合わせの他、家事・出産・育児・仕事(単身赴任・転職・休職・失業など)・趣味・両親との関係(介護問題や同居問題など)といった問題について、夫婦で話し合ってちょうど良い状況を探って、乗り越えていかなければなりません。
ただ、その中で相手の言動に対して大小様々な違和感・わだかまり・不平不満感を感じ、我慢やストレスが積み重なっていったりすることもよくあることです。
「性格の不一致」とは、このような夫婦としての共同生活を重ねる中で現れた違和感・わだかまり・不平不満感が溜まっていく「箱」のようなものです。
そして、「性格の不一致」という「箱」が限界まで溜まってふとしたきっかけで溢れた時に、夫の言動や夫の存在自体に嫌気が差し、「夫が嫌い」「夫と一緒にいたくない」「夫が気持ち悪い」「夫が生理的に無理」などと感じるようになり、夫との離婚の検討につながっていきます。
- 「性格の不一致」という「箱」に溜まっていく事情の具体例
- 夫の幼稚な側面
普段は特に問題がない夫でも忙しい時や虫の居所が悪く機嫌が悪い時、夫婦喧嘩をした時に幼稚としか言いようがない一面を覗かせ、あなたを落胆させるかもしれません。
- 夫の無配慮・頼りない側面
病気などの問題に直面した時に、夫の無配慮な側面や頼りない側面を認識することとなるかもしれません。
- 妊娠中の言動
夫から、妊娠中に無配慮な言動を受けて悲しい思いをさせられることもあるでしょう。
- 育児への不参加・非協力
子どもの出産後に育児に主体的に参加しない夫に不信感を抱いたりすることもあるでしょう。
- プライベートな事柄に介入してくる・束縛してくる
夫がプライベートな事柄に対して必要以上に根掘り葉掘り聞き出そうとしてきたり、友人や職場での人間関係に口を出してきたり、束縛してきたりして、うんざりさせられることもあるでしょう。
- 夫婦や家族の将来についてしっかりと考えてくれない
夫が夫婦・家族・子どもの将来のことをしっかりと考えてくれていなかったり、どこか他人事のように考えており、話し合おうにも真面目に向き合ってくれないこともあります。
- 金遣いや時間の使い方
夫の金遣いや時間の使い方に関しても、家計が厳しい時や子どもが生まれた後も自分の趣味や遊びや人間関係を優先して、浪費をしたり家族や家庭のために時間を使ってくれなかったりして、そのような自己中心的な夫にうんざりさせられることもあるでしょう。
- 共同生活上のルールを守らない
夫婦で話し合って決めた共同生活上のルールは当たり前のように破られ、開き直られてしまい、それが常態化してしまうこともよくある話です。
- 意見・考えを尊重してくれない
夫と話し合おうにも、結局いつも自分の意見・考えが先にありきな対応をされ、こちらの意見や考えを全く尊重してくれなかったり、そもそもちゃんと解ろうとしてくれなかったりすることもあるでしょう。
- 話し合えない・自分の非を認めない・謝らない・機嫌が悪くなる・すぐにキレる・高圧的な行動をする
夫の間違いを指摘しても、夫は非を認めたり謝ったりすることはなく、むしろ機嫌が悪くなってキレたり威圧的な行動を取ったりされるため、夫との言い争いのストレスを回避するために、夫と話し合うことをせずに一方的に我慢することが多い人もいるでしょう。
- 夫婦の営みに関する感覚のズレ
夫婦の営みについても、夫との間での感覚のズレに悩まされることもあるものです。
- 人として小さい・尊敬できない
人として小さい・尊敬できないと感じるような言動をする夫に悲しい気持ちにさせられたり、外出先で恥ずかしい思いをさせられたりすることもあるかもしれません。
- 夫婦・家族の将来に直結する事項に関する感覚のズレ
夫との間で、仕事・収入の将来の見通しや両親の介護問題、子どもの将来や教育方針に関する事項などといった夫婦・家族の将来像に直結する事項に関する考え方に感覚のズレがあって、違和感や不安感を拭えない状況に陥ることもあります。
- 夫婦関係の円満性を維持・継続していく意識の低さ
夫婦関係を円満に維持するためには夫婦の双方の配慮や努力が必要ですが、夫からそのような視点・意識が全く感じられず、気が付けば自分ばかりが夫に合わせて夫の生活や心情に一方的に配慮している生活に陥っている場合もあるものです。
このように、夫と離婚したいと考えるに至ることは、夫の浮気や不倫・暴言(モラハラ)・暴力(DV)などのような明らかな夫の非や明確な離婚の理由が存在している場合だけではありません。
むしろ、夫と離婚したいと考える理由が夫の浮気や不倫・暴言(モラハラ)・暴力(DV)などのような夫と離婚したいと考えることも当然だと思われるような事情ではないことの方がよくあることです。
そして、上述したように、実際に、多くの夫婦が、相手に明かな非がなくても、明確な離婚の理由が存在していなくても、「性格の不一致」という離婚の理由で離婚するに至っています。
3.「性格の不一致」で離婚する方法
⑴夫と話し合って離婚する方法(協議離婚・調停離婚)
圧倒的大多数の夫婦が協議離婚で離婚している

離婚の種類には、夫婦の合意により離婚が成立する協議離婚・調停離婚と、裁判所が判決で離婚を成立させる裁判離婚があります。
そして、圧倒的大多数の夫婦が、協議離婚(離婚すること及び離婚条件について夫婦が話し合って合意して離婚を成立させるとの方法)で離婚しています。
あなたが夫に対して離婚を切り出すほどの「性格の不一致」を感じている場合であれば、夫としても夫婦の間に乗り越え難い問題が存在していることを認識している場合もあります。
そのため、夫に離婚を切り出して、夫も離婚することに応じる可能性も十分にあり、その場合には、夫との間で離婚条件を1つ1つ話し合って決めていくことで、協議離婚にて早期に離婚が成立する可能性があります。
協議離婚の成立要件や注意点については【協議離婚とは?協議離婚の成立要件や離婚協議書の重要性を弁護士が解説】を、離婚の協議において夫との間で決めるべき離婚条件の全体像や離婚問題を有利に進めるためのポイントは【離婚の際に抑えるべきポイント】をご確認ください。
夫が離婚に合意しない場合
夫が離婚に合意しない場合には、弁護士に夫との交渉の間に入ってもらったり、離婚調停を申し立てたりすることを検討するべきでしょう。
夫としても、弁護士から強く離婚を迫る内容の連絡を受けたり、裁判所から離婚調停の期日の呼出状が届いたりすれば、あなたが本気で離婚を望んでいることを認識せざるを得ず、夫婦の婚姻関係の改善・復縁の可能性がないことを前提とした検討をせざるを得ないでしょう。
離婚調停では、調停委員が離婚に合意しない方を離婚に合意させようと必死に検討してくれることもあり、全体の5割以上(離婚調停中に協議離婚が成立した場合も含む)で離婚の合意が成立しており、離婚調停に弁護士が関与している場合にはさらに離婚合意の成立率は高まります。
離婚調停を有利に進めるポイントなどに関しては【離婚調停とは?申立てから終了までの流れや平均的な期間・手続の特徴を解説】をご確認ください。
また、同居中であれば離婚問題を有利に進めるためにも、別居や婚姻費用の請求を検討することも有用です。
離婚紛争における別居することのメリットについては【別居して離婚を考えている】にて詳しく説明していますので、併せてご確認ください。
⑵離婚裁判で夫と強制的に離婚する方法
離婚調停を実施しても夫が頑なに離婚に合意しない場合には、離婚するためには、離婚裁判を提起して離婚判決を得る必要があります。
裁判離婚は、唯一相手が離婚に合意せずとも強制的に離婚となるものであり、離婚達成のための最終手段です。
離婚裁判では高確率で離婚が成立している
離婚裁判を提起した場合の直近10年間(平成23年~令和2年)の離婚の成立率(判決離婚又は和解離婚に至る割合)は、合計82.7%であり、ほとんどの場合で離婚が成立しています。

裁判所は「性格の不一致」という理由で離婚判決を出してはくれない
離婚裁判で裁判所に離婚判決を出してもらうためには、法律に定められている離婚原因(法定離婚原因)が存在していることが必要です。
法定離婚原因は以下の5つです。
①「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
②「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
③「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
④「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
⑤「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)
このように、「性格の不一致」という離婚原因は法律上規定されていません。
そのため夫婦の間に「性格の不一致」があること自体が認められたとしても、そのことから直ちに離婚が認められることにはなりません。
裁判所に「婚姻を継続し難い重大な事由」があることを分かってもらおう
裁判所に夫婦の間に「性格の不一致」があるために、もはや「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)が存在している状況に至っていることを認定してもらうことができれば、離婚が成立することとなります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が既に破綻しており、修復することが不可能と思わざるを得ない事由をいいます。
そして、「性格の不一致」は「婚姻を継続し難い重大な事由」という離婚原因の存在を基礎付ける要素の一つとなります。
つまり、裁判所は、「性格の不一致」などがあるために「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在していると考えられる場合であれば離婚判決を出します。
裁判所に「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在していることを分かってもらうためには、裁判所に対して、「性格の不一致」があるためにもはや夫婦間の信頼関係・情緒的結合関係は完全に失われていることや、もう夫とやり直すことは心情的に絶対にあり得ないことなどといった自身の正直な気持ちを、夫の発言・行動などといった具体的なエピソードを交えて詳細に説明することが重要です。
また、「性格の不一致」を理由とする離婚問題では特に別居期間が結論を左右する重要な要素となることが多いですので【短い別居期間で離婚するには?別居期間が短い場合の離婚の進め方】も併せてご確認ください。
また、「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る離婚裁判の特徴や具体的にどのようなことを行っていくこととなるのかについては【離婚裁判で激しい争いとなりやすい典型的な5つのケースを解説します・③「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る争いがあるケース】をご確認ください。
4.夫と離婚したい場合に弁護士にできること

夫との間で「性格の不一致」が存在しており、夫のことが嫌いで夫と共同生活に苦痛を感じている場合には、そのような夫と今後も(それこそ人生の最後まで)共同生活を続けていくことは、幸せなこととはいえないでしょう。
夫との間に夫と離婚したいと考える程の「性格の不一致」が存在している場合には、夫との離婚交渉や離婚に関する手続きを離婚問題に精通した弁護士に依頼すれば、時間的・精神的な負担を軽減させつつ、高確率で離婚の成立に至ることができます。
また、夫と別居しているのであれば、夫と直接話をすることなく、夫と一切顔を合わせることもなく、夫との離婚を成立させることが可能です。
レイスター法律事務所では、無料相談にて、同居・別居の別や子あり・子なしの別などの具体的な状況を踏まえて、早期かつ好条件での離婚成立のために最適な離婚交渉の方針や交渉戦略、離婚成立までの婚姻費用(生活費)の具体的な金額、想定される離婚条件(財産分与・慰謝料・解決金・養育費など)の金額などといった離婚問題全般の見通しなどについて、具体的なアドバイスを行なっています。
夫と離婚したいとお考えの際は、是非、お気軽にこちらからご連絡ください。
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