離婚裁判は離婚達成のための最終手段!手続きの流れや期間・要件などを解説

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離婚裁判ではほぼ離婚が成立している

 統計上、離婚裁判を提起した場合の直近10年間(平成25年〜令和4年)の離婚の成立率(判決離婚又は和解離婚に至る割合)は、合計で80%であり、ほとんどの場合で離婚が成立しています。
 だからと言って、あなたの場合も離婚が成立するという確証があるわけではありません。
 ただ、離婚裁判は、離婚達成のために極めて有用な手続きであり、離婚裁判はまさに離婚達成のための最終手段といえます。
 他方において、離婚裁判には提起するための要件やデメリットも存在しています。

1.裁判離婚とは

裁判離婚とは、家庭裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)を提起して離婚判決を得ることにより離婚する場合をいいます。

裁判離婚は、判決で離婚が成立するものであるため、判決離婚と呼ばれる場合もあります。

また、離婚訴訟も離婚裁判と同じ意味です。

離婚裁判は、夫婦の間で離婚の協議がまとまらず、さらに離婚調停も不成立となった後に、離婚を巡る争いの最終手段として提起されるものです。

なお、法律上、離婚裁判を提起する前にまずは離婚調停を実施することが必要とされていますので(調停前置主義、家事事件手続法第257条1項)、いきなり離婚裁判を提起することは原則として認められません。

離婚成立に向けた手続きの流れ

    ↓ 話し合いがまとまらなければ

  • 調停離婚」(特殊なものとして「審判離婚」)

    ↓ 成立しなければ

裁判離婚は、唯一相手が離婚に合意せずとも強制的に離婚となるものであり、離婚達成のための最終手段です。

なお、離婚裁判の手続きの中で、当事者間で「離婚すること」と「離婚条件」について合意が成立することもあり、その場合は判決に至る前に和解で離婚が成立します。

このように和解で離婚が成立する場合の離婚を和解離婚と呼びます。

この記事では、離婚裁判にスポットライトを当てて、離婚裁判の流れや期間、離婚裁判を提起した方が良い場合などについて解説します。

2.離婚裁判を提起した場合の離婚の成立率

まず、離婚裁判を提起した場合に、最終的な結論として離婚が成立している割合(離婚の成立率)を見ます。

統計を見ると、離婚裁判を提起した場合の直近10年間(平成25年〜令和4年)の離婚の成立率(判決離婚又は和解離婚に至る割合)は、合計で80%にものぼり、ほとんどの場合で離婚が成立しています。

平成25年〜令和4年における離婚裁判提起の際の離婚の成立率

参照:裁判所・人事訴訟事件の概況(令和4年1月〜12月)

これはあくまでも統計上の話であり、自分の場合にも離婚が成立するという確証があるわけではありません。

ただ、離婚裁判は、離婚達成のために極めて有用な手続きであり、離婚裁判はまさに離婚達成のための最終手段といえます。

3.和解離婚という選択肢もある

離婚を巡る争いは、単純な経済的な負担を巡る争いなどとは全く性質が異なり、身分関係の変動を伴う争いであり、人生に与える影響が極めて大きな争いです。

そのため、裁判所による判決という一刀両断の形での強制的な解決ではなく、夫婦の双方が一定程度歩み寄った上で、合意によって紛争を終結させることができればそれに越したことはありません。

裁判所もそのように考えており、離婚裁判の手続きの途中であっても、当事者に対して積極的に「離婚すること」と「離婚条件」について合意することで紛争を解決できないかどうかを確認・打診してきます。

中には、相当強く和解離婚を押してくる裁判官もいるところであり、裁判所は、紛争解決機関として、離婚という身分関係の変動を伴う争いにおいては、判決よりも当事者双方の歩み寄りによる和解離婚での解決の方が解決方法として優れていると考えているような気がします。

そのようにして、離婚裁判の手続きの中で当事者双方が検討した結果「離婚すること」と「離婚条件」について当事者間に合意が成立した場合には、離婚裁判手続は判決に至る前に、和解離婚が成立し、終了します。

和解離婚は、言わば夫婦が合意により離婚となる最後の機会です。

なお、離婚裁判では、実は半数以上が判決に至る前に和解離婚で終了しているところであり、判決で離婚が成立する件数よりも和解離婚にて離婚が成立する件数の方が多いです。

参照:裁判所・人事訴訟事件の概況(令和4年1月〜12月)

4.離婚と共に裁判してもらえる事項

離婚裁判では、離婚となるかどうかという離婚の可否そのものの裁判に加えて、離婚慰謝料に関する裁判も併合して求めることができます。

また、養育費や財産分与など(附帯処分)も一緒に裁判してもらうよう申し立てることができます(附帯処分の申し立て)。

附帯処分の申し立てができる事項

  1. 親権者の指定
  2. 子どもの監護者の指定
  3. 子どもの引き渡し
  4. 面会交流の条件(面会条件)
  5. 養育費
  6. 財産分与
  7. 年金分割

5.離婚裁判の流れ

離婚裁判は、家庭裁判所に訴状を提出して提起します。

訴状の提出を受けた家庭裁判所は、まずその訴状の形式面の確認を行なって、問題があれば適宜補正を求めた上、第1回期日の日程を決定します。

その上で、家庭裁判所は、原告には期日呼出状を、被告には期日呼出状と訴状・訴状と共に提出された証拠を郵送(送達)します。

裁判所から期日呼出状を受け取った被告は、そこに記載されている期限内に、訴状に対する反論や言い分を記載した答弁書を提出する必要があります(なお、この際にいわゆる「三行答弁書」を提出する場合もあります。)。

その後、通常、1か月〜1か月半ごとに期日が実施され、原告と被告が交互に期日ごとに主張・反論を記載した準備書面の提出を行い、互いの主張を戦わせます。

このように離婚裁判の審理は、離婚協議や離婚調停とは全く異なり、原告と被告がそれぞれの主張を書面に記載して提出するという形で進むこととなります。


また、裁判所は、適宜、訴訟手続きを弁論準備手続きという非公開の手続きに付して、公開の法廷ではなく非公開の準備室(個室)にて今後の訴訟手続きの進行などについて協議を行なったりします(和解の話し合いも、通常、準備室にて行います。)。

そして、一通り争点や原告・被告の主張・反論などが出揃った後に、当事者尋問手続きが実施されます。

当事者尋問手続きは、公開の法廷にて、まずは原告に対して実施され、次に被告に対して実施されることが通例です。

その後、裁判所から判決期日が指定され、判決期日に判決が言い渡されます(なお、判決期日に出頭する必要はなく、判決の言い渡しの後で裁判所から判決正本が郵送(送達)されてきます。)。

家庭裁判所の判決の内容に不服がある場合には、判決正本の送達を受けた翌日から起算して2週間以内に不服申し立て(控訴)を行う必要があります。

その期間内に不服の申し立て(控訴)を行わない場合は、判決が確定し、もはやそれ以降争うことができなくなります。

なお、離婚裁判を弁護士に依頼した場合は、基本的に離婚裁判は本人の出頭は求められませんので、当事者尋問期日や和解離婚が成立する期日以外は、裁判所に出頭する必要はありません。

和解の話し合いのタイミング

離婚裁判において和解の話し合いが行われることが多いタイミングは、以下のタイミングです。

  1. 原告と被告が一通り各々の主張を準備書面に記載して提出し終わったタイミング
  2. 本人尋問が実施される直前のタイミング
  3. 本人尋問が実施された後のタイミング

このように、和解の話し合いは何度も繰り返されることが多いです。

裁判所も、和解が成立する可能性がある場合には、積極的に和解に乗り出してきて、裁判所から和解案が示されることもあります。

ただ、和解が成立するかどうかは、あくまで当事者間が「離婚すること」と「離婚条件」に合意するかどうか次第ですので、和解が成立しない場合も当然にあります。

当事者間で和解が成立しない場合には、最終的には、当事者尋問手続きを経て、判決が出されることとなります。

また、例えば親権者争いがある場合などの和解で離婚の合意が成立することが困難な場合には、和解の話し合いはほとんど行われずに判決まで進む場合もあります。

6.離婚裁判を提起する先の裁判所

離婚裁判は、夫婦のいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所に訴状を提出して提起することが必要です。

例えば、夫婦が東京23区内で生活していたものの夫婦関係が悪化して妻が沖縄・那覇の実家に帰ってしまった場合には、離婚訴訟は東京家庭裁判所に提起することも那覇家庭裁判所に提起することも可能です。

※裁判所の管轄はこちらで確認できます。
 ➡︎裁判所・裁判所の管轄区域

ただ、その家庭裁判所と離婚調停を実施した家庭裁判所が異なる場合には、離婚調停を実施した家庭裁判所に離婚裁判を提起することが認められる場合もあります。

7.離婚裁判の平均的な期間

離婚裁判を提起してから第一審の判決が出されるまでの期間は平均して概ね1年〜1年半程度です。

参照:裁判所・人事訴訟事件の概況(令和4年1月〜12月)

ただ、和解離婚で終了する場合はより短く終了しますし、親権争いがあるために家庭裁判所の調査官調査が実施されたなどの場合はより長期化し、中には離婚裁判手続きが2年以上続く場合もあります。

8.離婚判決の要件

⑴法定離婚原因が存在する場合

裁判所は、民法770条1項に規定されている離婚原因(法定離婚原因)が存在する場合に離婚判決を出します

離婚裁判とは、いうなれば裁判所が当該夫婦の間に「法定離婚原因」が存在しているかどうかを判断する手続きです。

原告は裁判所に「法定離婚原因」が存在していると判断してもらうために、被告は裁判所に「法定離婚原因」が存在していないと判断してもらうために、各々主張・立証活動を繰り広げます。

法定離婚原因とは以下の5つです。

法定離婚原因(民法770条1項)

  1. 「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
  2. 「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
  3. 「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
  4. 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
  5. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)

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法定離婚原因とは

離婚は、婚姻関係にある当事者双方が離婚することに合意する(協議離婚・調停離婚)か、もしくは裁判所による離婚判決(裁判離婚)により成立し…

⑵有責配偶者からの離婚請求である場合

有責配偶者とは、夫婦の婚姻関係の破綻に主な責任を負う配偶者のことをいいます。

例えば、不倫した配偶者は有責配偶者の典型です。

不倫(不貞)をしたということは、「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)という「法定離婚原因」を自身で作り出したということです。

このような場合に、「法定離婚原因」が存在しているからといって裁判離婚が認められるということとなれば、他方配偶者は不倫はされるわ、望まぬ離婚は強制されるわで、まさに踏んだり蹴ったりです。

「踏んだり蹴ったり」判決(最高裁判所判決昭和27年2月19日)

妻以外の女性と同棲している夫からの離婚請求について、最高裁判所は、そのような夫の身勝手な離婚請求が認められるのであれば、妻は「全く俗にいう踏んだり蹴たりである。法はかくの如き不徳義勝手気儘を許すものではない。道徳を守り、不徳義を許さないことが法の最重要な職分である。総て法はこの趣旨において解釈されなければならない。」として、夫の離婚請求を棄却し、離婚を認めなかった。

そのため、裁判所は、有責配偶者からの離婚請求に対しては、「法定離婚原因」が存在することに加えて、以下の3要件を充足しない限り離婚判決を出しません。

有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件

  1. 婚姻期間と比較して相当長期の別居の継続
  2. 未成熟の子がいないこと
  3. 離婚によって他方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況におかれないこと

有責配偶者からの離婚請求の問題は、離婚裁判の中でも特に難しい問題が多く含まれおり、対応次第によって極めて長期間離婚する手がなくなってしまいかねませんので、離婚を切り出す前などできるだけ早めに弁護士に相談することを強くお勧めします。

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9.離婚裁判を提起する前に

このように、離婚裁判を提起した場合の離婚成立率は8割以上であり、離婚裁判はまさに離婚達成のための最終手段といえます。

また、離婚の協議や離婚調停では、そのために長期間を費やしていたとしても、その結果、相手との話し合いがまとまらなければ、結局そこから離婚裁判が開始されることとなります。

それに対して、離婚裁判では1歩1歩確実に結論(判決)に向かって歩みを進めていくことが可能であり、このことが離婚裁判のメリットの一つです。

加えて、裁判離婚の大きなメリットとしては、離婚裁判では慰謝料や財産分与などの離婚条件を裁判官が法律論に基づいて決定しますので、相手に離婚に合意してもらうためにプラスアルファの経済的な支払いをする必要がないということです。

相手が、離婚協議や離婚調停では「離婚に合意してもらいたかったら解決金200万円支払え」と言ってきていても、「証拠はないがきっと不貞をしているはずだから慰謝料300万円を支払ってもらえないならば絶対に離婚に合意しない」と言ってきていたとしても、離婚裁判では「解決金」の支払いは認められませんし、不倫慰謝料も不倫の証拠がない以上は認められないことが多いでしょう。

ただし、離婚裁判の期間は1年〜1年半と長く、控訴をする場合にはさらに半年以上の期間を要します

離婚が成立するまでの期間が長くなれば長くなるほど、婚姻費用を支払っている側からすれば経済的な負担の総額が増加する(婚姻費用を支払ってもらっている側からすれば経済的な利益が増加する)ことを意味します。

また、離婚裁判の口頭弁論期日は公開の法廷で実施されますので、例えば尋問手続きを赤の他人の第三者が見聞きしている場合もあります。

加えて、離婚裁判の手続きには様々な法律上のルールが定められており、極めて複雑かつ失敗すると後から取り返しのつかないことも多々ありますし、最終的な判決の内容が意にそぐわないものである可能性もあります。

離婚裁判を弁護士に依頼せずに進めることは実際問題として極めて困難です。

離婚裁判を提起する前に、弁護士に相談することをお勧めします。

     

この記事の執筆者

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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