マザコン夫と離婚したい!マザコン夫の特徴とマザコンが理由の離婚の可否

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度を超えたマザコンは婚姻関係を破綻させます

 マザコン夫は「母親>その他(妻も含む)」という世界観の中にいますので、夫婦で話し合って決めるべき事柄(生活場所・自宅の購入・家計や貯蓄のあり方・子どもの教育方針など)に関しても母親の意向を妻に押し付けてきたり、妻の家事や料理を母親と比較した上で妻に「改善点」を伝えてきたりします。
 そのような自分の言動が妻にどれほど強いストレスを与えるのかを、マザコン夫は気がついていません。
 マザコン夫に改善を求めても、マザコン夫と母親との関係性は深く強固である場合が多く、マザコン夫に意識や行動を改めてもらうことは難しいことも多いです。
 そのような生活に限界を感じ、マザコン夫との離婚を検討することもあり得る考え方です。
 なお、マザコン夫は、切り出された離婚への回答も母親に相談した上で行います。

1.マザコン夫は妻よりも母親(姑)のことを優先する

マザコンとは、一般に、母親からの自立ができておらず精神的に母親に依存している状況をいいます。

自分のことを産んで育ててくれた母親のことを大切に思うことは当然です。

そのこと自体は何ら悪いことではなく、至極当たり前の感情でしょう。

しかし、単なる「母親思い」「母親が大好き」という状況を超え、母親との関係性が通常ではないと考えざるを得ない水準に達している場合があります。

いわゆるマザコンです。

マザコンにも軽度のマザコンから重度のマザコンまで程度の差はありますが、重度のマザコンの場合は、結婚後も母親と頻繁に連絡・電話を取り合ったり、頻繁に母親と遊びに行ったり、携帯電話の待ち受け画像を母親の写真にしていたり、口を開けば母親の自慢話が出てきたりと、側から見てもいわゆるマザコンとしか思えない行動を繰り返します

また、結婚前には夫がマザコンであることが分からないような隠れマザコン夫も多くいると言われています。

あなたが気がついていないだけで、実はあなたとの交際の状況も夫の母親には筒抜けであったり、独身時代に夫からもらったプレゼントも夫の母親が選んだものであったり、あなたとの結婚の決断も夫が母親と相談してから決めている場合もあったりします。

「そういえば夫はよく母親のことを褒めているなぁ」、「結婚式や結婚後の新居についても夫はよく母親と相談した上で決めていたなぁ」などと思い当たる場合には、要注意です。

マザコン夫は、通常の夫婦であれば夫婦で話し合って決めるような事柄(生活場所・自宅の購入・家計や貯蓄のあり方・子どもの教育方針など)に関しても、常に母親(姑)に相談してから決めようとします

しかも、マザコン夫は、母親(姑)の意見を強く尊重し、それがそのまま自分の意見となり、それを妻に押し付けてきたりします。


妻としては、夫に妻自身の意見・考え方よりも母親(姑)の意見・考え方を優先されてしまうことは極めてストレスフルなことでしょう。

しかし、マザコン夫にとって母親(姑)の意見を優先することは当たり前のことなので、自分の言動が妻にどれほどの強いストレスを与えているのかには気がついていないものです。

加えて、マザコン夫は、妻の行ってくれた家事や妻の作ってくれた料理を母親(姑)と比較する視点を常に有しており、比較した結果、母親(姑)を褒め、妻には「改善点」を伝えてきたりします。

それどころか、マザコン夫は、基本的に何があっても妻よりも母親(姑)の意向や気持ちを優先的に叶えようとしますので、妻が拒否したり嫌がっている場合であったとしても、母親(姑)の希望を優先させて子どもの育児に姑を関与させようとしたりすることもよく聞く話です。

マザコン夫の言動は嫁姑問題の引き金となることも多く、妻に多くの我慢やストレスを与えます

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2.マザコン夫との婚姻関係を円満に続けるコツ

マザコン夫が自分の言動に問題があると考えていることは稀ですし、マザコン夫と母親(姑)との関係性は深く強固である場合が多いです。

そのため、マザコン夫に意識や行動を改めてもらうことは容易なことではありません

そのようなマザコン夫との婚姻関係を円満に続けるには、マザコン夫の生き方を諦めて受け入れる必要があります。

つまり、マザコン夫の言動やマザコン夫と母親(姑)との関係性を受け入れるということです。

夫のマザコン度合いや夫婦の婚姻生活に与える実害の度合いが低い場合には許容範囲として受け入れ得ることもあるでしょう。

ただ、夫のマザコン度合いや夫婦の婚姻生活に与える実害の度合いが限度を超えたものである場合には、そのようなマザコン夫との共同生活に限界を感じ、マザコン夫との離婚を検討することもあり得る考え方です。

3.マザコン夫との離婚を検討している場合

離婚は、離婚問題に精通した弁護士に依頼をすれば、高確率で成立に至ることができます。

ただ、マザコン夫にマザコンであること以外には特段の問題がない場合には、いきなり離婚問題に突入するのではなく、今後も夫婦の婚姻関係を続けていくための最後の機会として、マザコン夫に対して、心を入れ替えて言動を改善するよう強く求めることを、考えてみても良いかもしれません。

具体的には、マザコン夫に対して、今まで自分が感じてきた苦しい思いや、今後の夫婦のために真剣に検討してもらいたいという思いを強く伝えてみる機会を設けて、マザコン夫の対応を見守ることが有用でしょう。

マザコン夫の態度が煮え切らない場合には、マザコン夫に対して、冷却期間としての別居を開始したいと伝えたり、離婚まで検討しているということをしっかりと伝えたりして、マザコン夫には背水の陣の覚悟で真剣に考えてもらうべきでしょう。

夫が心を入れ替えてくれさえすれば、今後も夫との婚姻関係を続けていく道もあるかもしれません。

例えば、夫が、あなたの思いを受け止めて、母親(姑)と距離を置くようにしたり、嫁姑問題が生じている場合には嫁姑問題の解消に全面的に乗り出してくれたりする可能性もなくはないです。

ただ、マザコン夫があなたの思いを理解しようとしてくれなかったり、今後の母親(姑)との付き合い方には特段の言及をしないままでその場限りのごまかしをしようとしてきたり、母親(姑)に相談した上で母親(姑)の意見に強く影響された反論をしてきたりする場合には、もはや夫のマザコンは変わらないものだと諦めざるを得ないでしょう。

そのようなマザコン夫と生涯を共に過ごすことはできないと考えた場合は、夫との間で離婚の話し合いを開始していくことになります。

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4.マザコン夫との離婚の進め方

⑴協議離婚

マザコン夫が離婚に合意してくれそうであれば、協議離婚(離婚すること及び離婚条件について夫婦が話し合って合意して離婚を成立させる離婚の方法)の成立を目指すことで良いでしょう。

しかし、マザコン夫との離婚協議では、夫は自分の意見のみで物事を進めることができず、結局夫婦の離婚問題にも夫の母親(姑)が強く関与してくることも多く、離婚協議の難航が予想されます。

そのため、仮に離婚問題が離婚裁判にまで発展してしまった場合に少しでも離婚判決を勝ち取れる可能性を高めるためにも、別居ができるのであれば早めに別居を開始することが良いでしょう。

⑵離婚調停

協議離婚が難航する場合には、離婚調停を申し立てて調停委員を間に入れて離婚の話し合いを進めていくこととなります。

離婚調停とは、夫婦間の離婚問題を解決するために、裁判所(調停委員会)が仲介して夫婦間の合意を成立させるための手続きです。

離婚調停では、調停委員が離婚に合意しない方を離婚に合意させようと必死に検討してくれることもあり、全体の半数近く(離婚調停中に協議離婚が成立した場合も含む)で離婚の合意が成立しており、離婚調停に弁護士が関与している場合にはさらに離婚合意の成立率は高まります。

参照:裁判所・令和4年 司法統計年報(家事編) 

⑶離婚裁判

離婚調停を実施しても離婚の合意が成立しなかった場合には、離婚裁判の提起を検討することとなります。

離婚裁判を提起した場合の直近10年間(平成25年〜令和4年)の離婚の成立率(判決離婚又は和解離婚に至る割合)は、合計で80%であり、ほとんどの場合で離婚が成立しており、離婚裁判はまさに離婚達成のための最終手段といえます。

参照:裁判所・人事訴訟事件の概況(令和4年1月〜12月)

離婚裁判について詳しくは【離婚裁判は離婚達成のための最終手段!手続きの流れや期間・要件などを解説】をご確認ください。


ただ、離婚裁判において勝訴して離婚判決を勝ち取るためには、離婚原因(法定離婚原因)が存在していることが必要ですが、「マザコン」自体は法定離婚原因ではありません

法定離婚原因(民法770条1項)

  1. 「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
  2. 「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
  3. 「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
  4. 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
  5. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)

マザコン夫との離婚裁判は、夫婦間に「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在していることが認められるかどうかの争いとなります。

この場合、特に別居期間が結論を左右する重要な要素となることが多いですので【短い別居期間で離婚するには?別居期間が短い場合の離婚の進め方】も併せてご確認ください。

また、「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る離婚裁判の特徴や具体的にどのようなことを行っていくこととなるのかについては【離婚裁判で激しい争いとなりやすい典型的な5つのケースを解説します・③「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る争いがあるケース】をご確認ください。

5.マザコン夫との離婚問題でお悩みの場合

マザコン夫にとっては母親は絶対的に大切な存在なのでしょう。

しかし、自身の妻だって絶対的に大切な存在であるはずであり、少なくとも妻に対して「母親>妻」とするかのような言動を続ける状況では、夫婦の婚姻関係が円満にいくはずはありません

さらに、夫が重度のマザコンである場合には、夫の母親(姑)との関係が悪化して深刻な嫁姑問題が勃発してしまう可能性も常に潜んでいます。

ただ、マザコン夫との離婚は明確な法定離婚原因が存在しない場合も多いため、離婚問題の進め方次第では必要以上に離婚紛争の長期化を導いてしまう可能性があります。

また、最終的に離婚を巡る争いが離婚裁判に至った場合に離婚判決が出される状況かどうかの見通しは、極めて専門的な判断が必要となります。

そして、離婚判決が出される状況かどうかで、離婚の協議や離婚調停の進め方や譲歩が必要な範囲も大きく変わってきます。

レイスター法律事務所では、無料法律相談にて、マザコン夫の具体的な言動や同居・別居の別、婚姻費用の金額や支払い状況、子どもの有無などの具体的な状況に応じて、夫に離婚を切り出す前の準備事項や最適な離婚問題の進め方などについて具体的かつ実践的なアドバイスを行っていますので、是非をご利用ください。

     

この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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