離婚したいけれどお金がない!専業主婦が受け取れる生活費などのお金について解説

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離婚したいけれどお金がない!専業主婦が受け取れる生活費などのお金について解説

離婚したいものの、離婚後の生活に大きな不安を感じて離婚に踏み切れないこともあるものです。

特に専業主婦の場合は、離婚後は就職をして自ら生計を立てていかなければなりませんが、収入がどのくらいとなるのか、就職できるのかなど様々な不安があるでしょう。

ただ、離婚までに受け取ることができる生活費(婚姻費用)や、離婚の際に受け取ることができるお金(財産分与の分預金や慰謝料など)、離婚後に受け取ることができるお金(養育費や公的支援)により、自身で稼ぐ賃金が少なかったとしても、十分に生活を維持していくことができる場合も多いです。

この記事では、

  1. 離婚するまでに必要なお金
  2. 離婚するまでに受け取ることができるお金
  3. 離婚により受け取ることができるお金
  4. 離婚後に受け取ることができるお金

について解説します。

1.離婚したい!お金がない!のループ

離婚したい!お金がない!のループ

結婚生活を幸せのままで完遂することは時に難しく、多くの夫婦が離婚を選択し、人生を次のステップへと進めています。

ただ、離婚したいと思っても、いざ離婚に踏み出そうとする際に立ちはだかることがある大きな問題として、離婚後の生活費の問題があります。

離婚後の生活をどうするか、生活していくことができるのかという経済的な不安を感じて、離婚したいけれど離婚できない、離婚に踏み出せないと考える人も多いです。

特に専業主婦の離婚の場合は、離婚後は自ら仕事をして生計を立てなければなりません。

就職活動がうまく行くかどうか、生活していくために十分な賃金を得ることができるかどうかなどに不安を感じている人も多いでしょう。

ただ、離婚後に受け取ることができる養育費や公的支援の利用により、自身で稼ぐ賃金が少なかったとしても、十分に生活を維持していくことができる場合も多いものです。

以下より、離婚前に知っておきたい、離婚に際して受け取ることができるお金について解説していきます。

2.①離婚するまでに必要なお金

離婚するまでに必要なお金として、離婚の手続きそのものにかかる費用のほかに、弁護士に依頼する場合には弁護士費用、そして、別居する場合には引っ越し等の費用が必要となります。

⑴離婚の手続きのために必要なお金

  • 協議離婚

協議離婚とは、夫婦で離婚するかどうか及び離婚条件について協議(話し合い)を行なって合意して離婚を成立させる離婚の方法をいいます。

夫婦で離婚の話し合いをして、離婚の合意ができれば、あとは離婚届を役所に提出するだけで協議離婚は成立します。

協議離婚の手続きを進めるために特に必要となる費用は、特にありません。

多くの夫婦が協議離婚の形で離婚しています。

しかしながら、相手が離婚に合意しない場合や、離婚条件について合意ができない場合には、調停離婚や裁判離婚の手続きに歩を進めるかを検討する必要があります。

  • 調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所に離婚調停の申し立てをして、調停委員の仲介のもとで離婚問題について話し合って合意して離婚を成立させる離婚の方法をいいます。

調停離婚の手続きを申し立てるためには、夫婦関係調整(離婚)調停の申立費用(収入印紙)として1200円がかかります。

さらに、裁判所に予納する郵便切手代や、調停申立時に裁判所に提出する戸籍謄本・その他必要書類の取得費用など、合計で3000円〜5000円程度の費用が必要となります。

  • 裁判離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所に離婚裁判(離婚訴訟)を提起して離婚判決を得ることにより離婚を成立させる離婚の方法をいいます。

裁判離婚の手続きを進めるための訴訟提起の手数料(収入印紙)は、慰謝料の請求額などによって増減があります。

さらに、裁判所に予納する郵便切手代や、必要書類の取得費なども発生します。

概ね、合計して2万円〜5万円程度の費用が必要となることが多いです(相手に高額の慰謝料を請求する場合には、より高額の費用が必要となり得ます。)。

⑵弁護士費用

離婚達成を弁護士に依頼する場合には、弁護士費用が必要となります。

弁護士費用の具体的な金額は、具体的な状況・依頼する手続き・得られる経済的利益の総額などによって異なります。

また、実際に得られた経済的な利益が大きければ大きいほど弁護士費用も高額となる傾向にあります。

この点は依頼する弁護士によって異なるところなので、実際に弁護士に依頼をする前に、できるだけ詳細な弁護士費用(着手金・報酬金)の見積もり金額を確認しておくことが良いでしょう。

また、弁護士費用の分割払いやクレジットカード払いに対応しているかどうかなど、支払い方法に関する点も依頼する弁護士や法律事務所によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

離婚問題を弁護士法人レイスター法律事務所にご依頼いただく場合に発生する弁護士費用はこちらをご確認ください(なお、実際にご依頼いただく前に詳細な費用の見積もりをお伝えしています。)。

弁護士料金

⑶別居する場合に必要なお金

離婚問題を有利に進めるためには、可能な限り配偶者と別居することがお勧めです

別居した方が離婚の合意を得やすい場合が多いですし、また、合意が成立し得る離婚条件が好条件となることも多いです。

ただ、別居するには、賃貸初期費用・賃料・引越し費用を支払う必要がある他、新居での生活のための家具家電類の購入費用もかかることとなります。

特に、別居先の住居の賃貸初期費用(敷金・礼金など)は相当高額となることもありますので、敷金・礼金のかからない物件を探したり、公営住宅などへの入居を目指したりすることも検討する必要があるでしょう。

実家の協力が得られる場合には、実家に転居して生活をすることとしたり、差し当たって一時的に実家に身を寄せて離婚問題を進めることなどを検討すると良いでしょう。

お金がないためにどうしても別居できない場合には、同居しながら離婚問題を進めることが必要となります。

同居しているものの離婚を考えている

3.②離婚するまでに受け取れるお金

離婚するまでに受け取れるお金

別居中、収入が多い方の配偶者は収入が少ない方の配偶者に対して、婚姻費用を支払う義務を負います。

また、別居中、子どもと生活している配偶者は、子どもと生活していない配偶者に対して、子どもの生活費を請求することができます。

そのため、自身の収入が相手の収入よりも低い場合や、自身が子どもと生活をしている場合には、相手から生活費(婚姻費用)を支払ってもらうことができます

婚姻費用の支払いは、離婚後の新しい生活の準備のためにも重要な軍資金となります。

婚姻費用の請求は法律上の正当な権利ですので、離婚の話し合いを有利に進めるためにも、まずは相手に対して積極的に生活費(婚姻費用)を請求していきましょう

婚姻費用の具体的な月額は、家庭裁判実務上、婚姻費用算定表に基づいて計算されています。

ただし、婚姻費用算定表は、夫婦の収入金額と同居している子どもの人数・年齢のみに基づいて婚姻費用の金額を算定するように作成されており、しかもオーソドックスなパターンしか記載されていないため、婚姻費用算定表の機械的な適用のみでは本当に適正な金額は決まらない場合も多いです。

そのため、実際に支払ってもらえる婚姻費用の正確な見込み金額がいくらになるのかに関しては、弁護士などの専門家に相談して把握しておくことをおすすめします。

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4.③離婚により受け取れるお金

⑴財産分与

離婚により受け取れるお金・財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に築いた財産(夫婦共有財産)を離婚の際に公平に分け合う制度をいいます。

財産分与では、原則として、基準時(別居日又は離婚時のいずれか早い方)における夫婦それぞれ名義の財産を2分の1に分け合うこととなります。

たとえ、専業主婦であったとしても、財産分与では夫婦共有財産の2分の1の金額の分与を受けることができます

そのため、例えば、夫名義の財産が合わせて3000万円存在しており、妻名義の財産が存在していなかった場合には、妻は、夫から、1500万円を受け取ることができます。

主に以下の財産は財産分与の対象となりますので、退職金や相手名義の保険なども忘れずに、しっかりと財産分与の請求をしていきましょう。

夫婦共有財産に含まれる財産

  1. 預貯金(子ども名義を含む)
  2. 不動産(結婚後に購入したものや婚姻後に住宅ローンを支払っていたもの)
  3. 自動車(結婚後に購入したものや婚姻後にカーローンを支払っていたもの)
  4. 保険(生命保険、学資保険、年金保険など)
  5. 退職金
  6. 確定拠出年金
  7. 株式
  8. 高額の家財
    など

また、財産分与には、夫婦の財産を考慮して計算をする「精算的財産分与」の他にも、いくつか種類が存在しています。

財産分与の種類(考慮要素)

  1. 夫婦の財産を考慮する「精算的財産分与」←一番有名
  2. 離婚後の扶養を考慮する「扶養的財産分与」
  3. 離婚に伴う慰謝料を考慮する「慰謝料的財産分与」
  4. 婚姻費用の分担の状況を考慮する「過去の婚姻費用の精算」

具体的な状況次第では、これらの夫婦の財産以外の要素を考慮して財産分与の金額を増額させることが認められる場合もあります。

有利な財産分与を勝ち取るために!財産分与の「財産」以外の考慮要素を解説

⑵慰謝料

相手の浮気・不倫や相手の言動のせいで夫婦の婚姻関係が破綻した場合には、相手に対して、離婚をする際に慰謝料を請求することができる場合があります

例えば、相手が以下のような言動をしていた場合には、慰謝料を請求することができる可能性が高いです。

  • 配偶者が浮気・不倫(不貞行為)をした
    ⇨相場金額:概ね150万円〜300万円程度
  • 配偶者から暴力(DV)・暴言・侮辱発言・モラルハラスメントを受けた
    ⇨相場金額:概ね数十万円〜300万円程度
  • 配偶者に性的な乱暴(性的DV)を受けた
    ⇨相場金額:概ね数十万円〜300万円程度
  • 配偶者から悪意で遺棄された
    (一方的な理由で別居され、同居にも応じず、生活費も渡してもらえなかったなど)
    ⇨相場金額:概ね50万円〜300万円程度
  • 配偶者が性行為を拒否したためにセックスレスになってしまった
    ⇨相場金額:概ね50万円〜200万円程度

ご自分の状況で慰謝料請求できるのかどうか、その場合の慰謝料の金額についてなど、詳しくは弁護士などの専門家に相談しましょう。

⑶解決金・離婚後の生活補助のための金員

夫婦の間で、離婚の際の解決金や、離婚後の生活補助のための金員の支払いに関して話し合いが行われ、離婚する際に一定の金員の支払いが行われる場合もあります。

離婚に至るまでの夫婦の状況は実に様々ですので、法律上は請求権が存在していなかったとしても、

  1. 婚姻生活の中で生じた問題や離婚の原因
  2. 早期離婚の利益の存否・過多
  3. 婚姻費用の支払いの状況
  4. 子どもとの関係

などの様々な理由で、法律上は請求できないような金員(解決金、手切金、離婚後の生活援助金など)の支払いの合意が成立することも多いです。

⑷養育費

離婚により受け取れるお金・養育費

離婚により親権を失った方の親(非親権者)は、子どもの生活のために養育費を負担する義務があります。

離婚後、あなたが子どもの親権者となり子どもを監護養育している場合には、元配偶者から養育費の支払いを受けることができます

養育費の具体的な月額は、家庭裁判実務上、養育費算定表に基づいて計算されています。

ただし、養育費算定表に関しても、夫婦の収入金額と同居している子どもの人数・年齢のみに基づいて養育費の金額を算定するように作成されており、しかもオーソドックスなパターンしか記載されていないため、養育費算定表の機械的な適用のみでは本当に適正な金額は決まらない場合も多いです。

また、子どもの教育費に関しては、私立学校や大学に入学する場合などの場合には、養育費算定表に基づく金額よりも増額できる場合(いわゆる私学加算)も多いです。

その他にも、例えば歯科矯正を行っているなどの場合にも、養育費の金額を一定程度増額できる場合もあります。

そのため、実際に支払ってもらえる正確な見込み金額に関しては、弁護士などの専門家に相談して把握しておくことをお勧めします。

離婚後に安定した養育費の支払いを確保することの経済的な利益は莫大であり、子どもの将来にも影響します。

その反面、離婚の際に約束した養育費を支払ってもらえなくなったとの相談はとても多いです。

安定して養育費の支払いを受け続ける状況を作るためにも、離婚条件の取り決めは必ず公正証書・調停条項にて明確に定めることを強くお勧めします。

離婚条件を公正証書や調停条項にて取り決めることによって、養育費の未払いがあった場合には速やかに強制執行を申し立てることができるようになり、その分、相手から誠実に養育費の支払いを受けられる可能性が高まります。

⑸年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の払込分を夫婦で分割する制度です。

国民年金の第3号被保険者であった期間(専業主婦の期間・年収130万円未満の期間など)がある場合には、この制度を利用することで、将来もらえる年金の金額を増額させることができます。

年金分割は、離婚後すぐに使えるお金がもらえるわけではありませんが、年金の額は老後の生活に直結しますので、手続きを忘れないように注意するべきです。

5.④離婚後に受け取ることができるお金

児童手当は、離婚した後も引き続き支給を受けることができます。

それに加えて、離婚後にひとり親(シングルマザー、シングルファザー)となった場合には、以下のような様々な公的支援を受けることができる可能性がありますので、公的支援の申請を忘れないようにしましょう(なお、以下は一例です。)。

※注意:令和6年5月24日時点の情報です。

⑴児童扶養手当

児童扶養手当とは、離婚によってひとり親となった場合などに、地方自治体から支給される手当てです。

児童扶養手当は、離婚した後から子どもが18歳になった後最初に到来する3月31日まで支給を受けることができます(支給月は1月、3月、5月、9月、11月)。

児童扶養手当の支給金額は、所得金額などに応じて以下の範囲内で変動します。

  • 児童扶養手当の支給金額

子ども1人の場合
・全部支給…4万3070円
・一部支給…1万0160円〜4万3060円

子ども2人目の加算金額
・全部支給…1万0170円
・一部支給…5090円〜1万0160円

子ども3人目以降の加算金額
・全部支給…6100円
・一部支給…3050円〜6090円

詳細は、お住まいの地域の役所にお問い合わせください。

⑵児童育成手当

児童育成手当も、離婚によってひとり親となった場合などに地方自治体から支給される手当てであり、離婚した後から子どもが18歳になった後最初の3月31日まで支給を受けることができます。

児童育成手当の支給金額は、子ども1人につき1万3500円です。

ただし注意点として、所得制限があり、一定以上の収入を得ている場合には支給を受けることができません(具体的な所得制限の内容は自治体によって異なります)。

詳細は、お住まいの地域の役所にお問い合わせください。

⑶母子家庭の住宅手当(家賃補助)

母子家庭の住宅手当も、離婚によってひとり親となった場合などに地方自治体から受けることのできる支援です。

名称・要件・具体的な支援の内容などは地方自治体によって異なりますので、お住まいの地域の役所にお問い合わせください。

⑷ひとり親家族等医療費助成

ひとり親家族等医療費助成も、離婚によってひとり親となった場合などに地方自治体から受けることのできる支援です。

こちらも要件や具体的な支援の内容などが地方自治体によって異なりますので、お住まいの地域の役所にお問い合わせください。

⑸その他各種割引など

ひとり親世帯は、公共交通機関の運賃の割引、上下水道の料金の減免など、さまざまなサポートが受けられる場合がありますので、お住まいの地域の役所にお問い合わせください。

また、保育料も、ひとり親世帯を対象とした減免の制度を設けている自治体が多いので、こちらもお住まいの地域の役所にお問い合わせください。

なお、具体的な事情によっては、生活保護を受給できることもあります。

6.離婚は幸せに向かう新たな人生のスタート

離婚は幸せに向かう新たな人生のスタート

離婚問題は、ただ離婚すれば良いという問題ではなく、このまま婚姻関係を継続していくことよりも人生をより幸せにするものでなければなりません。

パートナーと夫婦として一緒に生活することに限界が来ている場合、このまま辛い結婚生活を我慢して続けていくことは、幸せなことではないでしょう

離婚に踏み出せない理由がお金の問題だけであるのであれば、お金の問題は、婚姻費用・離婚条件(財産分与・慰謝料・解決金・養育費など)・離婚後の公的支援の利用によって、案外どうにかなることもあり得るものです。

実際に、多くの専業主婦の方が離婚して、離婚後の新たな生活に踏み出しており、問題なく生活を続けることができています。

レイスター法律事務所では、無料相談にて、同居・別居の別や子あり・子なしの別などの具体的な状況を踏まえて、

  1. 早期かつ好条件での離婚成立のために最適な離婚交渉の方針や交渉戦略
  2. 離婚成立までの婚姻費用(生活費)の具体的な金額
  3. 想定される離婚条件(財産分与・慰謝料・解決金・養育費など)の金額

などといった離婚問題全般の見通しなどについて、具体的なアドバイスを行なっています。

配偶者との離婚をお考えの際は、是非、お気軽にこちらからご連絡ください。

     

この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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