別居して離婚を考えている

1.別居することのメリット

別居することのメリット

離婚の進め方としては、別居が可能であれば別居した方が良いでしょう。

離婚問題に関して、別居することのメリットはいくつもあります。

まず、家庭裁判所は、離婚訴訟において、夫婦が同居中の場合は、何らかの明確な離婚原因がない限り、なかなか離婚判決を出してくれません。

他方、家庭裁判所は、離婚訴訟において、不倫やDVなどといった明確な離婚の理由が存在していなかったとしても、別居期間が概ね2年半〜3年以上に及んでいる場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)が存在するとして、離婚判決を出す場合が多いです(ただし有責配偶者とされてしまった場合はより長期間の別居の継続などが必要となります。)。

そのため、別居を開始するということは、離婚に合意しない相手に対して、今すぐに離婚に合意するか・いずれ離婚裁判で負けて強制的に離婚になるのかの選択を迫ることができるということです(そのような状況であれば離婚訴訟に至る前に離婚の合意を得ることが容易になります。)。

また、同居している場合には、離婚を切り出した本人と切り出されている相手とは、結局は同じ自宅にて生活をしている状況になってしまいます。

そのため相手は、「離婚を突きつけられている」という事態について、まさに今直面しており対応が迫られている問題ではなくて、どこかしらいずれ対応が迫られることとなる問題であるかのように受け止めている場合があります(半ば現実逃避が含まれている場合もあるでしょうが。)。

この点も、別居を開始することにより、相手に対して、自分が心から本気で離婚を希望していることを明確に突きつけることができるので、相手も事実上離婚の話し合いを先延ばしにするなどといった不誠実な対応を続けることができなくなります。

さらに言えば、別居しているのであれば、離婚が成立する前であっても日常生活上は離婚したい相手から解放され、離婚した後の生活状況と変わらない生活を送ることができます。

そして、そのような生活を続けながら、離婚に向けた交渉や離婚訴訟を進めることが可能ですので、同居したままで離婚問題を進めるよりも気持ちの上で格段に楽になるでしょう。

離婚に合意しない相手としても、離婚後・独身であるのと同じような生活の継続、及び、どれほど強い意思で離婚を拒否し続けていたとしても決して同居・復縁となるものではないとの諦めにより、離婚に向けて積極的な検討の余地が生じることもあります。

このように、離婚の進め方としては、早めに別居を開始することが極めて有用です。

なお、経済的な問題や子どもの通学先の問題などのためになかなか別居ができない場合があることも事実です。

ただ、経済的な問題については、後述するように、別居と同時に婚姻費用を請求することでカバーできる場合もありますので、その方向性を検討することも有用です。

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2.離婚問題における「別居」の意味

⑴ 「別居」に当たるケースと「別居」に当たらないケース

離婚問題における「別居」とは、単純に別の場所で生活をしていること(客観的な状況としての別の場所での生活状況)を意味するのではなく、その生活状況が夫婦としての共同生活を否定するものであること(その状況が継続すれば婚姻関係が破綻していると考えざるを得ないものであること)が必要です。

別居に当たるケース

例えば、離婚の話し合いを冷静に進めるための転居や、不倫相手の自宅に転がり込んだことによる転居は、明らかに「別居」に当たります。

また、理由も告げずにある日突然開始された転居は、そうするだけの理由が存在していた(そうせざるを得ない程度に夫婦関係が悪化していた)と考えられますので、一般的には「別居」に当たると考えられます。

別居に当たらないケース

他方、単身赴任や長期間の入院は「別居」には当たりませんし、終期が決められた一時的な別居(例えば親が倒れたことから両親の生活が落ち着くまで一時的に実家に帰るなど)も夫婦としての共同生活を否定するものとまでは言えないため、「別居」には当たらないと考えられます。

また、仮に夫婦が話し合って同意した上で各々別の場所での生活を開始したとしても、その生活を開始した理由が、例えば子どもが遠くの大学に入学したことをきっかけとして、妻のみが子どもに付き添って大学の近くに引っ越しをしたような場合などは、「別居」には当たらないと考えられます。

もっとも、「別居」に当たらない場合であったとしても、別居する理由が消滅したにも関わらず同居に戻ることなくそのまま別居し続けている場合には、事情によって「別居」の開始が認められる可能性があります。

また、別居の開始の時点では「別居」には当たらないとしても、別居の開始後に今後の同居の可能性を拒否したり、離婚を切り出したりした場合には、その時点で夫婦としての共同生活を否定する別居であることが明確となりますので、「別居」が開始されたと考えることができます。

例えば、単身赴任中の夫に対して「もう家に戻ってこないでください。離婚したいです。」と連絡をしたり、弁護士に依頼した上で離婚に向けた交渉を開始した場合には、その時点から離婚問題における「別居」が開始されたと見ることができます。

⑵ 「別居」に当たるかどうかが問題となるケース

冷却期間として開始した別居

夫婦関係の悪化を防止するために一時的に別の場所での生活をしてみることがあります。

いわゆる、双方冷静になるための冷却期間です。

このような冷却期間は、一般的には今後の夫婦関係の修繕・再構築を目的として開始されることが多いため、夫婦としての共同生活を否定するものではないと考えられ、「別居」には当たらないとされる場合が多いです。

ただし、このような場合でも、以後の同居の可能性を拒否したり、離婚を切り出したりした場合には、その時点で夫婦としての共同生活を否定する別居であることが明確となりますので、その時点から「別居」が開始されたと考えることができます。

スムーズに別居を開始するための弁法を用いた別居

スムーズに別居を開始するための弁法(ウソ)として、相手が納得するそれらしい何らかの理由を付けて別居を開始する例も多く見られます。

例えば、あえて遠方の単身赴任先の希望を出したり、本当は必要がないのに両親の介護が必要であるとの理由を付けて実家に帰ったりする場合です。

このような場合は、相手は離婚など全く考えていなかった可能性がありますので、後に「別居」かどうかが争いとなった場合には、その時点では「別居」には当たらないとされてしまう可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、スムーズな別居を勝ち取った後に、早めにメールやLINEなどで相手に対して離婚を切り出したり、弁護士に依頼して離婚を希望する旨の連絡書面を送付しておくことが有用です。

このように相手に対して記録に残る形で離婚を切り出しておけば、少なくともその時点以降は「別居」であることは争いなく認められるでしょう。

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3.別居している場合の離婚の話の進め方

別居している場合の離婚の話の進め方は、相手も離婚を考えている(離婚する意思がある)かどうかにより異なります。

⑴ 相手も離婚を考えている(離婚する意思がある)場合

相手も離婚を考えている場合であれば、適宜弁護士の無料相談などを利用して、相手との対立を不必要に深めることなく、離婚条件を1つ1つ決めていくことで、早期に協議離婚を成立させることができる可能性があります。

ただし、相手との間で離婚条件に関して合意ができない場合や、相手と直接のやり取りをしたくない場合には、弁護士に離婚の交渉を依頼して相手との交渉の間に入ってもらったり、離婚調停を申し立てたりすることを検討するべきでしょう。

⑵ 相手が離婚を考えていない(離婚する意思がない)場合

相手が離婚を考えていない場合は、相手との話し合いが平行線となり、いたずらに長引いてしまう可能性があります。

それを避けるため、弁護士などの第三者を間に入れて交渉を進めるか、離婚調停を申し立てるかして、相手との離婚の話を前に進めていくことが必要となります。

さらに、離婚調停を申し立てて時間をかけて話し合ったものの、相手が離婚に合意しない場合や離婚条件の合意ができない場合には、離婚訴訟を提起して離婚を求めていく必要が生じます。

いずれにしても、今後の話し合いの進め方などを整理し、不用意に不利な状況に陥らないために、お早めに弁護士に相談して知識を得ておくことを強くお勧めします。

⑶ 相手と直接やり取りすることが辛い場合

相手と直接やり取りをすることが辛い場合には、弁護士に依頼をすることで、弁護士があなたの連絡窓口となり、代わりに相手と交渉を行うこととなります。

調停期日においても、裁判所から相手との同席を求められた場合に、弁護士があなたの代わりに相手と同席して手続きを進めることができます。

このように、弁護士に依頼をすることで、相手との直接の話し合いをすることなく、相手に一切会うこともなく、離婚を成立させることができます

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4.離婚の話し合いの最中は生活費(婚姻費用)をしっかりと支払ってもらおう

あなたの収入よりも相手の収入の方が高い場合や、あなたが子どもと暮らしている場合には、相手から生活費(婚姻費用)を支払ってもらえる可能性が高いです。

別居後に生活費(婚姻費用)の支払いを受けられる場合には、別居すると同時に婚姻費用を正式に請求することで、別居による経済的な負担をある程度カバーできる可能性もあります。

離婚の話し合いを有利に進めるためにも、相手に対して積極的に生活費(婚姻費用)を請求していきましょう。

なお、生活費(婚姻費用)は相手に請求した時(請求した時を明確にできない場合には婚姻費用分担請求調停を申し立てた月)から請求する権利が認められると考えられています。

そのため、損をしないためにも、相手に対してできるだけ早めに生活費(婚姻費用)の請求をしていきましょう(婚姻費用分担請求調停を申し立てるまではしないとしても、内容証明郵便で請求しておくことが良いでしょう。)。

他方、あなたの収入の方が相手の収入より高い場合や、相手が子どもと暮らしている場合には、相手があなたに対して生活費(婚姻費用)を請求できる可能性が高いです。

ただし、その場合であっても、一旦支払い始めた生活費(婚姻費用)を後から減額することが困難な場合も多いので、相手に生活費(婚姻費用)を支払う前に弁護士に相談するなどして慎重に検討することをお勧めします。

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5.別居開始後の異性との付き合い

⑴ 別居開始後に不倫が発覚するケースも多い

仮に、あなたに相手の知らない恋人(不倫相手)がいた場合、別居を開始したからといって自由にその恋人(不倫相手)と会っても大丈夫になったとは言い切れません。

確かに、別居したことにより、恋人(不倫相手)と会うことは容易になりました。

しかし、別居後に不倫が発覚するケースも多く見られます。

殊に恋人(不倫相手)と同居している場合には、なおさら発覚する可能性が高いです。

あなたの不倫を疑った配偶者が、あなたの居場所を探している可能性があります。

相手が依頼した弁護士が職務上請求によりあなたの住所地を調べていたり、探偵があなたを身辺調査している可能性があります。

相手に知られていないと思っていた不倫が実は知られていたというケースは本当に多いです。

⑵ 新たな出会いを求めることはできないのか

相手との離婚を巡る争いが長期化してしまい、なかなか離婚が成立しない場合もあります。

その場合、離婚が成立するまで他の異性と結婚することはできませんが、必ずしも他の異性と恋仲になってはならないということはありません。

なぜならば、相手と離婚を前提とした別居が開始されている状況に至っているならば、その時点で既にあなたと相手との間には貞操義務によって守られるべき法律上の利益(婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益)は存在していないと考えられているからです(なお、離婚問題における「婚姻関係の破綻」よりも不倫慰謝料問題における「婚姻関係の破綻」の方が容易に認められます。)。

そのため、離婚を前提とした別居開始後に新たに異性と恋仲となったとしても、それは貞操義務に違反する行為ではありませんので、あなたは有責配偶者ではありませんし、不倫慰謝料を支払う義務も発生しません。

つまり、簡単にいうと、相手との別居後に新たに他の異性と恋仲となることは、認められています。

人生の時間は極めて貴重です。

また、恋愛はタイミングと思い切りがとても重要です。

相手と離婚が成立するまで他の異性とお付き合いすることが一切できないというのでは、あなたの人生に与えるダメージがあまりにも大きいでしょう。

ただし、下記(3)で記載する注意点がありますので、ご参考にしてください。

⑶ 別居開始後に従前からの知り合いと恋仲になった場合の注意点

あなたが相手と同居している時から連絡を取り合って相談をしていた異性の友人と別居開始後に恋仲になったとします。

あなたは相手との同居中にはその友人に対する恋愛感情は一切なかったものの、別居開始後になって初めてその友人を異性として意識するようになり、恋愛関係に至ったものでした。

人がいつ恋に落ちるかなど分かりませんので、別居した後に改めて今後の人生について考え、その異性の友人の優しい気遣いに触れ、打ち解けた時間を過ごすうちに恋愛感情を抱くようになることも十分あり得る話です。

その場合は、本来であれば、上記⑵で説明したように、その異性との関係は特に問題がないものとして、認められるはずです。

しかし、あなたがいくら説明しても、相手はあなたの説明に納得しないでしょう。

その場合、以下の問題が生じます。

①相手が提示してくる離婚条件に慰謝料が入ってくる可能性がある

相手は、あなたの不倫を主張し、あなたのことを有責配偶者だと決めつけてくるかも知れません。

その場合は、相手が提示してくる離婚条件の中にあなたに対する慰謝料が含まれてくる可能性があります。

②離婚訴訟に至った場合に裁判所に有責配偶者と認定されてしまうリスクがある

最終的にあなたの有責性を決めるのは、客観的な真実ではなく、裁判所の判断です。

そのため、具体的な事情や客観的な証拠の状況次第では、裁判所があなたのことを有責配偶者だと認定してしまう可能性があります。

同居中から連絡を取り合っていた異性の友人と別居開始後に恋仲になった場合には、このようなリスクがあります。

まして、あなたが別居開始当初からその異性の友人の自宅にて生活を開始していた場合には、あなたは裁判所により有責配偶者と認定されてしまう可能性が十分にあります。

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6.弁護士の無料相談を利用して情報の整理・収集をしておこう

離婚問題は複雑であり、考えて決めていかなければならないほどが沢山あります。

それらの問題点の一つ一つが、過去の判例・裁判例による判断のされ方や家庭裁判所実務での取り扱われ方に基づいて「絶対にこうなる」と断言できる問題点は少なく、担当する裁判官によって最終的な判断が異なってくる問題点や、人による・時と場合によるとしか言いようがない問題点も多く存在しています。

そのため、離婚問題を解決し、最善の結果を獲得するためには、膨大な知識と経験値が必要です。

しかしながら、何度も離婚と再婚を繰り返して、その都度配偶者と激しい争いをしてきたり、何度も離婚訴訟を最後まで戦い抜いてきたりして、離婚問題や家庭裁判実務の状況に関する知識と経験が豊富な人はいないでしょう。

そのような知識と経験を有しているのは数多くの離婚問題を取り扱ってきた経験豊富な弁護士だけです。

離婚は、ただ離婚すれば良いという問題ではなく、あなたの人生をより幸せにするものでなければなりません。

そのためには、離婚条件は離婚後の生活や将来を見据えたものにする必要がありますが、その分相手との合意のハードルは高くなります。

離婚問題に直面しているということは、今からこのような難問に立ち向かっていかなければならないということです。

このような難問をひとりで乗り越えることは精神的にとても辛いことです。

弁護士に相談するタイミングは、早ければ早いほどいい。

つまり、弁護士に相談するタイミングは、今です。

弁護士に相談をすることで、

  1. 離婚問題を解決するためにどのような視点で考えるべきか
  2. 離婚問題を解決するための最善の方法は何か
  3. この瞬間から具体的にどのような行動をしていくべきか
  4. 特に意識的に注意するべきことは何か
  5. 離婚問題の解決までの目安期間
  6. 婚姻費用の具体的な金額や、離婚に至った場合に想定される養育費の金額・離婚慰謝料の金額・財産分与の金額などの経済的な条件

について知ることができ、今後の見通しが持てるようになるはずです。

ひとりで悩む必要はありません。

是非、弁護士法人レイスター法律事務所にご相談ください。

弁護士法人レイスター法律事務所は、離婚問題のプロフェッショナルとして、個別具体的な「あなた」にとっての最善の結果を獲得するため、あらゆる方法を模索・検討し、実践いたします。

     

この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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