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1.裁判における慰謝料の相場金額
貞操権侵害を理由とする慰謝料の相場金額としては、過去の判例・裁判例では50万円〜300万円程度の金額が認められている例が多いです。
なぜこれほど相場金額に差があるのかというと、貞操権侵害の態様や相手の悪質性、それにより被害者が被った被害・損害の大きさなどの事情が事案によって大きく変わってくるためです。
裁判所では、貞操権侵害を理由とする慰謝料の金額を決める際に、
- 騙された被害者の年齢
- 騙した加害者の積極性
- 肉体関係の回数・頻度
- 騙しの手法の悪質性
- 騙された被害者が被った代償等(交際期間、妊娠・中絶・流産・出産など)
などの事情を総合考慮して、金額を決めています。
そして、これらの事情は個別具体的な事案ごとに様々ですから、裁判で認められている慰謝料の金額にも相当の幅が生じているのです。
2.交渉は裁判における慰謝料の相場金額だけで決まるものではない
また、これは重要なことですが、上記の貞操権侵害を理由とする慰謝料の相場金額は、あくまで過去の判例・裁判例を分析・検討した結果として最終的に裁判所が認める可能性が高いと思われる金額をいうに過ぎません。
過去の判例・裁判例では然程重視されていないかのように思われる要素であったとしても、様々な要素が複合的に作用して、本件ではより高額の慰謝料が認められる可能性も当然あります。
相手との交渉(話し合い)においても、交渉の末に合意が成立するであろう慰謝料の金額は、裁判上のいわゆる相場金額が重要な指針とはなりますが、それだけで決定されるものではありません。
騙されていたとはいえ恋人としての日々を過ごした者同士ですので、互いに裁判では捉えきれないような様々な感情や利益状況があり得るところです。
相手との交渉は、過去の判例・裁判例の中では取り上げられていないような様々な思いが複合的に絡み合って展開する場合もあります。
その結果、裁判における慰謝料の相場金額を遥かに超える金額での合意が成立する場合もあります。
また、これは極端な例ですが、被害者が相手から騙されたことによって被った代償を丁寧に説明をしたところ、相手が本心から真摯に反省して、騙したことを強く後悔するようになり、請求している金額よりも高額の慰謝料の支払いを申し出てくる例もあります。
このように、交渉にて合意が成立するであろうと想定される貞操権侵害を理由とする慰謝料の金額は、裁判における慰謝料の相場金額の幅よりもさらに個別具体的な事情により大きく差があります。
そのため、弁護士法人レイスター法律事務所では、無料法律相談にて、想定される慰謝料の具体的な金額について、類似案件に関する判例・裁判例や交渉での解決結果に基づいて、交渉にて解決した場合と裁判に至った場合とに分けて、できる限り具体的にお伝えしています。