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1.面会交流とは
面会交流とは、子どもと離れて暮らしている父母の一方(別居親)が、子どもと会って話をしたり、一緒に遊んだり、電話や手紙などの方法で交流することをいいます。
用語例としては、かつては「面会交渉」という表記もよく見られ、現在も「面会交流」という表記と「面会交渉」という表記を併記してある記載も見られますが、「面会交流」も「面会交渉」も同じ意味と考えて差し支えありません。
2.面会交流の意義
離婚した配偶者は他人となりますが、血のつながった実の子どもとの親子関係は生涯不変です。
離婚しても子どもと会いたいと考えることは全くもって自然な感情です。
そのことは子どもにとっても全く同様であり、面会交流は子どもと離れて暮らしている親の権利であるとともに、別居親と離れて暮らしている子どもの権利でもあると考えられています。
子どもの健全な成長のためには、同居親からの愛情だけではなく別居親からの愛情も必要であり、面会交流は子どもが離れて暮らす別居親からの愛情を再確認するという極めて重要な機会です。
特に、別居親が子どもと直接会って交流すること(直接交流)は、面会交流の方法の中でも、子どもが別居親と直接的な触れ合いや一緒の体験といった肯定的な関わりを積み重ねることによって、別居親の存在を直接認識したり、別居親の関心や愛情を直接実感したりして、別居親との関係を深めることができる点において極めて重要な意義を有すると考えられています。
法律上も、「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と定められており(民法766条)、平成24年の法律改正であえて「父又は母と子との面会及びその他の交流」との文言が付け加えられました。
3.面会交流の条件(面会条件)の取り決め方
別居親は離れて暮らす子どもの監護権を有していませんので、同居親(監護親)が認めていない限り、子どもと暮らしている同居親(監護親)に無断で子どもと自由に会うことは認められていません。
そのため、同居親(監護親)との間で、子どもと会う頻度や時間、受け渡し場所などの面会交流の条件(面会条件)を話し合って決めなければなりません。
面会条件は、父母が合意するのであれば基本的にどのような条件でも問題ありません。
面会交流の理想は、子どものための父母の協同です。
たとえ離婚紛争中であったとしても、夫婦間の争いや感情的な対立と面会交流とは別の問題と割り切り、父母が協力して子どものためにより良い面会交流の実施を目指していくのが理想とされます。
しかしながら、感情的な理由や距離的・生活状況上の理由・社会的状況などの理由で、別居親と子どもとの交流に協力的でない同居親(監護親)が多いのも実情です。
中には、別居した夫から離婚要求を突き付けられた当初は強く離婚を拒否し、子どものためには父親の存在が必要であると強く訴えて、積極的な父子交流の実施を求めていた妻が、夫の離婚意思が固いことを知るや否や、一貫して離婚には応じるとしつつも一切の面会交流の実施を全面的に拒否するようになる例もあります。
また、中には、離婚した後であれば面会交流の実施に協力するなどと宣言し、およそ合意ができないような一方的な離婚条件を提示してくるなど、あからさまに面会交流の実施と離婚条件とをバーターとしてくる場合もあります。
そのような場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てて、調停委員や家庭裁判所調査官を間に入れて、面会交流の条件(面会条件)について話し合っていくこととなります。
それでもなお、同居親(監護親)が面会交流の実施に応じない場合には、家庭裁判所調査官に子の福祉に適合する面会交流の条件(面会条件)を調査してもらったり、最終的には裁判所に審判で面会交流の条件(面会条件)を定めてもらったりする必要があります。
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