有責配偶者でも離婚は可能!好きな人ができた時の離婚までの進め方

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「好きな人ができたから離婚したい」が通ることも、有責配偶者からの離婚請求(浮気・不倫した方からの離婚請求)が通ることも特に珍しいことではなく、よくある離婚の形の一つです。

結婚した後も、あなたの人生はあなたが主役の人生であり、自分の幸せを犠牲にして夫(妻)の期待するところの自分であり続けなければならないものではありません。

そして、人は、結婚していたとしても好きな人ができることがあり、それが引き金となって夫(妻)と離婚したくなってしまうことがあるものなんです。

この記事では、好きな人ができた時に夫(妻)と離婚する方法(特に有責配偶者に該当する可能性がある場合の進め方や離婚するためのポイント)を解説します。

1.好きな人との交際を続けるとの選択

好きな人との交際を続けるとの選択

男女は、知り合い、交際し、婚約して、結婚します。

そして、結婚とは、世の中に無数に存在する異性のひとりを自分の人生における唯一のパートナーに定める行為です。

結婚した瞬間、人生を共に歩むことが「正しい」とされる異性は配偶者のみに固定化されます。

仮に本気で好きな人ができたとしても、その好きな人と恋愛することは結婚のルールからすれば「正しい」とはいえない行為です。

その好きな人への恋心を断ち切り、既にその好きな人と交際(浮気・不倫)している状況であればその人と別れることが、結婚の「正しいルール」に沿った対応です。

ただ、人の心は、結婚の「正しいルール」の通りに素直に言うことを聞いてくれないことがあります。

様々な葛藤の末、好きな人との交際を続けるとの選択をすることだってあるでしょう。

この記事では、好きな人ができた時に夫(妻)と離婚する方法(特に有責配偶者に該当する可能性がある場合の離婚の進め方や離婚するためのポイント)を解説します。

2.好きな人ができたことが離婚問題につながる原因

⑴配偶者に対する不満が募っていた・配偶者との関係が悪化していた

配偶者に対する不満が募っていた・配偶者との関係が悪化していた

配偶者に対する不満が募っていたり、配偶者との夫婦の婚姻関係が悪化した状態にあった中で、配偶者以外の異性との交際(浮気・不倫)が開始されることは多いものです。

  1. 自分のことを一人の異性として見てくれなくなった配偶者との生活に寂しさを感じていた
  2. 配偶者の暴言(モラハラ)・暴力(DV)・異性関係・収入や金遣いなどの点に悩みを抱えていた
  3. 配偶者との間で性格の不一致や価値観の違いを感じていた
  4. セックスレスなど性的な事柄に関する不満を感じていた

など、配偶者に対する不満が募っていたり、配偶者との関係が悪化した状態である場合は、配偶者以外の異性に心が向かいやすい状況でしょう。

そして、このような場合は、好きな人ができたことや、その好きな人と恋愛関係(浮気・不倫の関係)に至ったことが後押しとなって、配偶者との婚姻関係を解消したいという思いにつながっていきます。

また、このような場合は、そもそも配偶者以外の異性の存在とは無関係に、夫婦の婚姻関係が破綻し、ないし破綻に瀕していたといえる場合もあります。

⑵配偶者に魅力を感じなくなる・気持ちが冷めてしまう

配偶者以外の異性に自分が恋していると自覚し、その異性に対する思いやその異性との関係が深まるにつれ、配偶者に異性としての魅力を感じなくなり、配偶者に対する気持ちが冷めていることに気が付くことがあります。

配偶者との会話や日常生活に退屈感や煩わしさを感じてひとりの時間が欲しくなったり、配偶者とのセックスに物足りなさや億劫さなどといった冷めた感情や義務感を感じて満足できなくなったりし、そういった配偶者との関係における我慢やストレスが積み重なっていきます。

そして、そのようないわば「つまらない」配偶者との人生に価値や将来性を見出せなくなり、このまま自分の人生がそれに費やされていってしまうことが嫌になり、配偶者との婚姻関係を解消して別々の人生を進むことを希望する場合には、配偶者との離婚を選択することとなります。

⑶恋人と自由に付き合いたい・恋人との関係を深めたいという思い

恋人と自由に付き合いたい・恋人との関係を深めたいという思い

好きな人ともっと一緒にいたい、もっと深く繋がりたいと思ったとしても、配偶者がいる状況だと、どうしても配偶者の目を気にする必要がありますので、恋人と自由に会ったり、遊興に出かけたりすることは困難です。

恋人とは「おやすみ」や「おかえり」を言い合える関係ではなく、対外的な役柄は他人であり、配偶者にバレない範囲内でしか会うことができません。

例えば夜遅くまで一緒に過ごすことや、週末や祝日に会うことや、お互いの誕生日・クリスマス・年末年始などのイベントの日を一緒に過ごすことや、一緒に宿泊をすることなどができないことも多いでしょう。

その切なさや恋しさ、孤独感や時には嫉妬心に耐えかねて、恋人と自由に付き合いたい、恋人との関係をもっと深めていきたいとの思いから、配偶者との別居や離婚に踏み切る場合もあります。

⑷恋人と再婚したい・恋人との子どもが欲しい

数多くの夫婦が現実に離婚を選択していることから考えても、人は、結局離婚することとなるような異性と結婚をしてしまうことが良くあるものなのでしょう。

そもそも配偶者は自分が出会うこととなる無数に存在する異性の中で最も魅力的で相性の良い異性であると保証された存在ではありませんし、最も自分が幸せになれる人生のパートナーであると保証された存在でもありません。

結婚した後に配偶者よりも魅力的で相性の良い異性が現れることもあり得ることであり、そのような異性と恋愛し、相思相愛の恋仲となって信頼関係を築いていき、お互いに共に歩む人生を望むようになることもあり得るものです。

そのような恋人と再婚したいと思い、恋人との間での再婚の約束がある場合には、再婚をするためにまずは配偶者と離婚をしなければなりません。

特に恋人との間で子どもを設けたいと考えている場合には、早く配偶者と離婚して恋人と再婚したいと強く思うときもあるものです。

⑸恋人の存在が発覚した後の配偶者との生活が悲惨な状況となった

恋人の存在が発覚した後の配偶者との生活が悲惨な状況となった

配偶者に恋人の存在が発覚したことがきっかけとなり、配偶者から事ある毎に責められ、何度も繰り返し謝罪や反省を求められたり、何を伝えても聞く耳を持ってもらえずに否定されるようになったり、生活に支障が出る程の様々な制約を課されたりするなどの状況となることがあります。

また、浮気・不倫の発覚が配偶者からの暴言(モラハラ)や暴力(DV)が始まるきっかけとなることもあり、そしてそれは習慣のように配偶者に染み付くことがあります。

配偶者からひどい暴言や脅しのような言葉を投げかけられ、暴力的な挙動をするようになった配偶者に恐怖を感じることもあるでしょう。

また、子どもがいる場合は特に問題が大きく、あえて子どもに聞こえるように浮気・不倫を責められたり、子どもの前で夫婦の言い争いが多発するようになったりしてしまう場合もあります。

なお、そのような行為は子どもを使ったDVや子どもに対する心理的虐待に該当し得る悪質性の高い行為です。

そのような配偶者との終わりの見えない辛い共同生活の状況に精神的に追い込まれてしまい、配偶者との別居や離婚を決意するに至ることもよくあることです。

3.一般的な離婚の進め方

離婚問題は、通常、離婚協議→離婚調停→離婚裁判と進んでいきます。

⑴離婚協議で協議離婚の成立を目指す

配偶者との離婚を決意した場合には、まずは協議離婚が成立する可能性を検討することとなります。

協議離婚とは、夫婦で離婚するかどうか及び離婚条件について協議(話し合い)を行って合意して離婚を成立させる離婚の方法のことをいい、離婚する夫婦の圧倒的多数が協議離婚の形で離婚しています。

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⑵離婚調停で調停離婚の成立を目指す

離婚調停で調停離婚の成立を目指す

配偶者が離婚を拒否している場合や、そもそも配偶者と離婚の協議(話し合い)ができそうもないような場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて調停離婚の成立を目指すこととなります。

調停離婚とは、家庭裁判所で調停委員の仲介のもとで離婚するかどうか及び離婚条件について話し合って合意して離婚を成立させる離婚の方法のことをいいます。

離婚調停では、調停委員が離婚に合意しない方を離婚に合意させようと必死に検討してくれることもあり、全体の半数近く(離婚調停中に協議離婚が成立した場合も含む)で離婚の合意が成立しており、離婚調停に弁護士が関与している場合にはさらに離婚合意の成立率は高まります。

参照:裁判所・令和4年 司法統計年報(家事編) 

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⑶離婚裁判で裁判離婚の成立を目指す

離婚調停を申し立てて家庭裁判所で離婚問題の話し合いを行なってもなお配偶者が離婚に合意しなかったり離婚条件について折り合いが付かなかった場合には、離婚するために残された手段は離婚裁判を提起する方法のみです。

離婚裁判では、裁判所が法定離婚原因の有無を審理し、法定離婚原因が存在すると判断されれば離婚判決が出され裁判離婚が成立し、法定離婚原因が存在しないと判断されれば棄却判決(離婚を認めない判決)が出されることとなります。

法定離婚原因は以下の5つです。

法定離婚原因(民法770条1項)

  1. 「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
  2. 「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
  3. 「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
  4. 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
  5. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)

①〜④に定められている法定離婚原因が存在していない場合は、⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無が主な争点となり、その存在が認められれば離婚判決が出されることになります。

配偶者からモラハラや暴力(DV)の被害を受けていた場合や、配偶者が子どもを虐待していた場合には、⑤「婚姻を継続に難い重大な事由」が存在するとされ、離婚判決が出される可能性が十分にあります。

また、「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否の争いでは別居期間がどの程度であるのかが極めて重要となります。

そして、一般的には、同居中である場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」の存在が認められず、離婚判決は出されにくいとの傾向があります。

他方、別居期間が概ね2年半以上であれば、他にこれといった事情が存在しなかったとしても「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在するとされて離婚判決が出される可能性が高まっていき、別居期間が5年以上であれば離婚判決が出される可能性が相当高くなります。

ただし、有責配偶者(夫婦の婚姻関係の破綻に主な責任を負う配偶者)からの離婚請求は、裁判所は原則として認めません

そして、①の「不貞」をした配偶者は、有責配偶者に該当する可能性があります。

あなたが①の「不貞」をしていた場合など有責配偶者に該当する可能性がある場合には、後述するように、離婚までの進め方に注意点や離婚するためのポイントがあります。

4.有責配偶者に該当する可能性がある場合に夫(妻)と離婚する方法

浮気・不倫をしたら離婚できないとか、有責配偶者は離婚できないなどと言われることがありますが、そんなことは全くありません。

浮気・不倫をした方の配偶者から離婚を切り出した場合であったとしても、離婚が成立する形で離婚問題が解決することは特に珍しいことではなく、よくある離婚の形の一つです。

ただし、浮気・不倫をしていた場合には、離婚までの進め方に注意点や離婚するためのポイントがあります。

⑴有責配偶者に該当しない可能性を考える

  • 「不貞」がない場合
有責配偶者に該当しない可能性を考える

「不貞」とは配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすることをいい、性交渉とは男性器の女性器への挿入行為をいいます。

そして、離婚裁判では、その「不貞」が存在したかどうかを「不貞」の存在を主張する方の配偶者が証拠に基づいて立証することが必要となります。

そのため、好きな人ができただけである場合や、その好きな人とプラトニック不倫(配偶者がいる者が配偶者以外の異性と肉体関係の伴わない恋仲を貫いている場合)の関係であったに過ぎない場合は、「不貞」はありません

その場合は、有責配偶者とされない可能性が十分にあります。

「不貞」がないのに「不貞」があるとされてしまうリスク

「不貞」の存否について夫婦間で争いが生じている場合には、最終的には裁判所が「不貞」の有無を決めることとなります。

その際、裁判所は、肉体関係(男性器の女性器への挿入行為)の存在自体を直接証明する証拠が存在していなかったとしても、肉体関係が存在していた可能性が高いと考えられる状況が存在していたことが証拠上明らかとなれば、肉体関係が存在していたと認定します。

例えば、以下のような証拠が存在している場合には、本当に肉体関係が存在していなかったとしても、裁判所に肉体関係が存在していた(「不貞」があった)と認定されてしまう可能性が高いです。

裁判所が肉体関係が存在していたと認定する可能性が高い証拠の例

  1. ラブホテルに出入りしていることを証明する写真など
  2. 2人きりで宿泊を伴う旅行に出かけたことを証明する写真や旅館の領収書など
  3. いずれかの自宅に長時間滞在・宿泊したことを証明する写真など
  4. 同棲していることを証明する写真など
  5. 肉体関係が存在している男女間のやり取りとしか思えないようなLINE・メール・SNSでのやり取りの証拠
  6. 配偶者に対して肉体関係が存在していたことを認めたように見える謝罪文などの証拠

このような証拠が存在していた場合には、本当に肉体関係が存在していなかったとしても、裁判所に「不貞」があったこととされてしまい、有責配偶者であるとされてしまうリスクがあります

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  • 夫婦の婚姻関係が破綻した原因が他に存在している場合
夫婦の婚姻関係が破綻した原因が他に存在している場合

有責配偶者であるかどうかは、不倫をしていたかどうかだけで決まるような単純な問題ではありません。

不倫をしていたとしても、離婚裁判で有責配偶者該当性を争った結果、判決において有責配偶者ではないとされる場合もあります。

なぜならば、有責配偶者とは夫婦の婚姻関係の破綻に主な責任を負う配偶者をいうのであって、不倫をした配偶者をいうものではないからです。

つまり、仮に配偶者以外の異性と不倫の関係(肉体関係を伴う関係)にあったとしても、その不倫が夫婦の婚姻関係が破綻した主な原因でないのであれば、不倫をした配偶者は有責配偶者ではありません

例えば、不倫の開始前に既に夫婦の婚姻関係が完全に破綻していた場合には、不倫が原因で夫婦の婚姻関係が破綻したものではありませんので、不倫をした配偶者は有責配偶者ではありません。

また、不倫の開始前に夫婦の婚姻関係が破綻していたとまでは言えなかったとしても、夫婦の婚姻関係が相当程度悪化しており、かつ、不倫の発覚後の経緯なども相まって夫婦の婚姻関係が破綻するに至ったという場合もあります。

その場合は、不倫だけが原因で夫婦の婚姻関係が破綻したものではありませんので、有責配偶者に当たらないとされる可能性も十分にあります。

夫婦の婚姻関係が悪化する原因の例

浮気・不倫の開始前に以下のような事情が存在していた場合には、裁判所に不倫以外に夫婦の婚姻関係が破綻した原因(夫婦の婚姻関係の破綻の一因)が存在していたと判断してもらえる可能性があります。

配偶者との今までの生活を思い返して、じっくりと検討してみてください。

そして、思い当たるところがある場合は有責配偶者該当性を争える可能性がありますので、離婚問題に精通した弁護士に相談をして離婚交渉の進め方をしっかりと検討することをお勧めします。

  1. 配偶者と離婚の話し合いをしたことがあった
  2. 配偶者からの暴力(DV)に悩んでいた
  3. 配偶者からの暴言・モラルハラスメントに悩んでいた
  4. 配偶者が子どもに対して虐待行為をしていた
  5. 配偶者が性的不能であった
  6. 配偶者が同性愛者であった
  7. 配偶者との間に性的不一致(セックスレス性行為や性的嗜好の強要など)があった
  8. 不妊に悩んでいた
  9. 配偶者が風俗通いをしていた
  10. 配偶者が不倫をしていた
  11. 配偶者がプラトニック不倫をしておりセカンドパートナーを持っていた
  12. 配偶者がパパ活ママ活・秘書活をしていた
  13. 配偶者から宗教活動の勧誘を受けていて悩んでいた
  14. 配偶者との間で信仰上のすれ違いがあった
  15. 配偶者に浪費癖・多額の借金があり、金銭感覚の隔たりがあった
  16. 配偶者が自己破産したことがあった
  17. 配偶者の依存症(アルコール依存症、ゲーム依存症、ギャンブル依存症、スマホ依存など)に悩んでいた
  18. 配偶者から束縛・監視を受けていた
  19. 配偶者と共依存の状況にあった
  20. 配偶者から経済的な締め付けを受けていた
  21. 配偶者が犯罪行為を犯した、配偶者が服役した
  22. 配偶者から悪意の遺棄又はその類似行為をされていた(別居して同居に応じない・家事や育児に協力しない・生活費を負担しない・仕事をしない・自宅から追い出された・必要な看護をしないなど)
  23. 配偶者と別居の状況にあった
  24. 配偶者と家庭内別居の状況にあった
  25. 配偶者が育児に協力せずワンオペ育児の状態に悩んでいた・育児ノイローゼになったことがあった
  26. 産後クライシス・産後うつになったことがあった
  27. 配偶者の精神的な病(うつ病・適応障害・アスペルガー症候群・解離性障害・双極性障害・統合失調症など)に苦しんでいた
  28. 自分がうつ病や適応障害になったことがあった
  29. 配偶者の親族との不和・軋轢があった(配偶者のマザコン問題嫁姑問題・介護問題・育児への介入問題・孫差別問題・老後サポートのための資金援助問題など)
  30. 配偶者と自分の親族との間に不和・軋轢があった(両親を馬鹿にする言動・行事への不参加など)
  31. 配偶者との間の性格の不一致に悩んでいた
  32. 配偶者との間の価値観の違い(家族観・人生設計に関する価値観の違い、性的な価値観の違い、夫婦観・ジェンダー観の違い、宗教的な価値観の違いなど)に悩んでいた
  33. 配偶者が単身赴任中であり同じ場所に居住していなかった
  34. 配偶者が病気・事故で長期間入院をしたり入退院を繰り返したりしていた
  35. 配偶者の朝帰りや無断外泊に悩んでいた
  36. 配偶者が夫婦での決め事・約束事を破ることが多かった
  37. 配偶者との間で子どもの育児問題・教育方針に関する考え方の違いがあった
  38. 配偶者が仕事人間・趣味人間であり家族や家庭のことをほとんど顧みない人だった
  39. 配偶者と結婚した後に嘘が発覚して騙されて結婚したと考えることがあった
  40. 配偶者の日常的な嘘・虚言癖に悩んでいた
  41. 配偶者からの無視に悩んでいた
  42. 配偶者が非を認めたり謝ったりしないことにうんざりしたことがあった
  43. 配偶者の精神的不安定さ・情緒不安定さに悩んでいた
  44. 配偶者との生活スタイルの違いに悩んでいた
  45. 配偶者の生活態度・生活音・体臭・口臭などで悩みがあった
  46. 配偶者との間で頻繁に夫婦喧嘩をする状況であった
  47. どうしても許せない配偶者のひどい発言・ひどい行動がある
  48. 配偶者が人として小さい・対外的に恥ずかしい・尊敬できないと感じる行動をしたことがあった
  49. 配偶者がすぐに切れたり大声を出したりして怖いと感じることがあった
  50. 配偶者と話し合うことができずに我慢していることがあった
  51. 配偶者に対する拒絶感・嫌悪感情を有していた
  52. 配偶者の言動によるストレスで体調不良を感じることがあった(夫源病など)
  53. 配偶者と契約結婚をしていたが婚前契約で取り決めた事項に違反されたことがあった

⑵協議離婚・調停離婚で夫(妻)に離婚に合意してもらう

協議離婚・調停離婚で夫(妻)に離婚に合意してもらう

仮に有責配偶者であったとしても、相手の配偶者が離婚に合意するのであれば、離婚は成立します。

そもそも、自分の夫(妻)が不倫をした上で離婚を切り出しているという状況は、離婚が成立すると否とを問わず、夫婦の関係性はこの上ない程に最悪の状況です。

そのような場合、多くのケースで別居が開始されています。

つまり、もう当該夫婦の関係性は完全に形骸化しており、ただ戸籍に法律婚の記載がされているだけの状況であって、日々の生活実態は離婚後の状態と全く変わらない状況です。

夫婦の状況がそのような状況に陥っているにも関わらず配偶者が離婚に合意しない主な理由は、以下の点にあることが多い印象です。

有責配偶者からの離婚請求に相手の配偶者が合意しない主な理由

経済的な理由

  1. 離婚すると自分の生活費(婚姻費用)がもらえなくなってしまうから
  2. 離婚条件が納得いかないから

経済的理由以外の理由

  1. 復縁を諦めきれない、やり直したい
  2. 子どもの養育問題や親権問題
  3. 相手の希望(特に再婚)が叶うことが納得いかないから
  4. 世間体
  5. 相手から伝えられた離婚したい理由に納得できないから

このうちの、「経済的理由以外の理由」に関しては、弁護士や調停委員なども交えてじっくりと説得・交渉して、どうにか諦めてもらう他ありません。

その前提として、相手の配偶者に対して、離婚に合意しないで争い続けたとしても、夫婦の婚姻関係が完全に形骸化した状態である以上、いつか離婚が成立するその日まで問題の解決が先送りになるだけであり、いずれにしても生活実態は離婚後の状態と変わらない状況が続くだけであるということをしっかりと理解してもらうことが重要でしょう。

他方、離婚に合意しない本質的な理由が「経済的な理由」にある場合であれば、離婚条件(特に経済的な離婚条件)の話し合いの中で、こちらが合意可能な離婚条件と、相手の配偶者が合意可能な離婚条件について話し合いを進め、その合意点を探っていくとの交渉が可能な場合が多いです。

離婚の合意の成立に向けて様々な工夫をしつつ慎重に離婚交渉・話し合いを進めていけば、離婚調停の段階までで離婚の合意が成立する可能性は十分にあります。

慰謝料の相場金額 

相手の配偶者との間で離婚条件に関して話し合いをする際には、相手の配偶者から慰謝料請求を受けることが多いでしょう。

その際の慰謝料の相場金額(浮気・不倫が原因で離婚に至った場合に裁判所が認めている慰謝料の金額)は 概ね150万円〜300万円程度であり、当事者間で話し合って合意に至る場合もその相場金額の水準で合意が成立することが多いです。

ただし、不倫の慰謝料の金額は個別具体的な増減事由により変動するものであり、上記相場金額以下の金額が認められているケースや、上記相場金額以上の金額が認められているケースも数多く存在しています。

慰謝料の相場金額に関しては以下の記事で詳細に解説していますので、併せてご確認ください。

【不倫慰謝料の相場】不倫が原因で離婚した場合に裁判所が認めている金額

⑶有責配偶者からの離婚請求が認められる例外を追求する

有責配偶者であったとしても100%絶対に離婚判決を獲得することができないわけではなく、以下の例外要件が満たされる場合には離婚判決を獲得することができます

有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件

  1. 婚姻期間と比較して相当長期の別居の継続
  2. 未成熟の子がいないこと
  3. 離婚によって他方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況におかれないこと

  • 「①婚姻期間と比較して相当長期の別居の継続」との要件について

裁判所は、の別居期間の要件が満たされるかどうかについて夫婦間の様々な事情を総合的に考慮して判断しており、6年〜10年程度の別居期間がなければ離婚を認めないことが多いです。

ただし、不倫に至る前の夫婦の関係性の状況や、不倫発覚後に配偶者からされた酷いことなどの状況次第では、かなり短期間の別居期間で離婚が認められている場合もあります

  • 「②未成熟の子がいないこと」との要件について

裁判所は、の未成熟子要件に関しては、一般的には高校を卒業する程度の年齢までは「未成熟の子」とすることが多いです。

ただし、具体的事情(特に離婚しても子の福祉が特段害されることがない等の事情)によっては、小学校入学前の子どもが居たとしても離婚が認められている場合もあります。

  • 「③離婚によって他方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況におかれないこと」との要件について

裁判所は、の苛酷要件に関しては、の別居期間の要件との未成熟子要件が満たされているにもかかわらず、の苛酷要件のみが満たされていないという理由で離婚を認めないことはほどんどありません。

裁判所は、の苛酷要件については限定的かつ極めて柔軟に考えており、たとえ相手の配偶者が無職・低収入であったとしても、離婚に伴う経済的給付(財産分与や慰謝料など)として相手に支払うこととなる金員が高額である場合や、扶養的財産分与などとして一定の金員を支払うこととすることにより、の要件が満たされたと判断することが通常です。

  • まとめ

一昔前と比べて、有責配偶者からの離婚請求が認められる範囲は格段に広がっています。

中にはほんの数年程度の別居期間で有責配偶者からの離婚請求を認めた裁判例も出現しており、いわゆる担当する裁判官次第では相当広い範囲で有責配偶者からの離婚請求が認められるようになってきています。

⑷和解離婚で離婚を成立させる

和解離婚で離婚を成立させる

離婚の争いは、お金の貸し借りや単純な慰謝料請求を巡る争いとは性質が全く異なり、離婚という身分関係の変動を伴うものであり、人生に与える影響が極めて大きな争いです。

そのため、裁判所が出した判決により無理やり当事者に結論が押し付けられるという形ではなく、当事者である夫婦が互いに歩み寄って譲歩して合意することによって争いを終結させることができればそれに越したことはありません。

裁判所もそのように考えており、離婚裁判を担当する裁判官は、離婚裁判の手続の中で、当事者双方に対して何度も「離婚すること」と「離婚条件」について話し合って合意することで争いを解決できないかどうかを確認・打診してくることが通常です。

このことは有責配偶者からの離婚請求の場合でも、更には判決で離婚が認められなさそうな状況であったとしても変わらず、裁判所は、当事者双方に対して、和解離婚の成立に向けた検討を促すことが多いです。

その背景には、仮に離婚請求を棄却する判決(離婚を認めない判決)を出したとしても、夫婦間の離婚を巡る争いが今後も継続するだけであって、何らの紛争解決にはなっていないという点にもあると思われます。

その流れで当事者である夫婦間に「離婚すること」と「離婚条件」についての合意が成立した場合には、離婚裁判の手続きは判決に至る前に和解離婚が成立することによって終了します

和解離婚であれば、有責配偶者からの離婚請求であったとしても、離婚が成立します。

和解離婚は判決に至る前に離婚が成立する最後の機会であり、ここで離婚の合意が成立することも多いです。

なお、離婚裁判では、実は判決で離婚が成立する件数よりも和解離婚にて離婚が成立する件数の方が多いです。

参照:裁判所・人事訴訟事件の概況(令和4年1月〜12月)

5.離婚は配偶者の人生を巻き込む自分の人生の選択です

離婚は配偶者の人生を巻き込む自分の人生の選択です

もうしっかりと愛せそうもない配偶者(本当は離婚したい配偶者)と生涯夫婦であり続けるとの人生の選択は、「正しい」選択なのでしょうか

結婚の「正しいルール」に基づいて考えると、それは「正しい」選択です。

それに対して、好きな人と交際(浮気・不倫)することは結婚の「正しいルール」に違反する行為であり、配偶者に多大な被害を被らせ、慰謝料を支払う責任を負う可能性のある行為でもあります。

それに加えて、望まぬ離婚までしなければならないとすれば、配偶者はまさに踏んだり蹴ったりの状況でしょう。

結婚というシステムは、配偶者以外の異性のことを決して好きになることなく、また万一好きな人ができたとしてもその恋心を押し殺して、配偶者との関係を生涯に渡り円満に維持・継続するための努力を続けることを期待しています。

配偶者の人生や配偶者の幸福のため、そして配偶者の期待するあなたであり続けるために、あなたは好きな人への恋心を封印して忘れる努力をするとの選択をしなければなりませんし、まして「好きな人ができた」との理由で配偶者が望まない離婚を選択してはなりません。

しかし、常に「正しい」選択をし続けるだけが人生ではないでしょう

実際、「好きな人ができた」との理由で配偶者との離婚を選択する人は昔から相当数存在しています。

そして、「好きな人ができた」という理由で始まった離婚問題や、浮気・不倫をしていた有責配偶者からの離婚請求により始まった離婚問題であったとしても、離婚が成立する形で解決することは特に珍しいことではなく、よくある離婚の形の一つです。

6.レイスター法律事務所にできること

レイスター法律事務所にできること

「好きな人ができた」との理由で配偶者との離婚を検討している人の多くは、配偶者と結婚する際には、将来自分が配偶者以外の異性のことを本気で好きになり、配偶者との離婚を検討することになるなどとは思ってもみなかったはずです。

浮気・不倫など実感の伴わない他人事に過ぎず、自分の人生とは無縁の別の世界の出来事であったはずです。

しかしながら、人生では、許されないことだとは重々承知しつつもどうしようもなく本気で好きになってしまい、その恋心が抑圧できない程に膨れ上がり、結婚の「正しいルール」を乗り越えて共に歩む人生を望んでしまうような異性と出会うことがあるのでしょう。

自分の人生を変えてしまうような異性との出会いが良かったのか悪かったのかは、今決まる問題ではありませんし、人生の最後まで分からないかもしれません。

どこに自分の本当の幸せがあり、どのような道を選択するべきかという問いに普遍的な正解はなく、本当のところは選択した道を進んでみなければ分からないものです。

それでいて人生は一度きりであり、かつ、進んできた道を後戻りすることはできず常に前に進み続けるしかありません。

後悔のない人生のためにどのような道を進むかを選択するのは、法律論ではなく、あなたの判断です

ただ、その判断の前提の一つとして、複雑な法律問題(離婚問題・不倫慰謝料問題など)が存在しています。

レイスター法律事務所では、無料相談において、離婚に向けて進める場合の離婚の成立可能性、離婚交渉の方針や早期離婚達成のための交渉戦略、離婚が成立する場合の離婚条件(財産分与・慰謝料・養育費など)の金額の幅などの離婚問題全般の見通しなどについて、具体的なアドバイスを行なっています。

配偶者との離婚問題でお悩みの際は、是非、こちらからお気軽にご連絡ください。

     

この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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