モラハラ離婚の際に取り決めるべき離婚条件の全体像を順に解説

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モラハラ(モラルハラスメント)とは精神的虐待(精神的暴力)のことを言います。

モラハラ離婚の際に取り決めるべき離婚条件は、概ね子どもに関する事項(①子どもの親権者、②面会交流の条件(面会条件))とお金に関する事項(①財産分与、②離婚慰謝料、③養育費、④年金分割)です。

離婚の理由がモラハラである場合に、この離婚条件についてどのように考え、どのように相手との話し合いを進めていけば良いか(特に面会交流の条件(面会条件)と慰謝料について)を解説しました。

1.モラハラ離婚の際の離婚条件の全体像を把握しよう

モラハラ離婚の際の離婚条件の全体像を把握しよう

モラハラをしてくる相手と離婚する際、取り決めていかなければならない離婚条件の全体像は、概ね以下の通りです。

子どもに関する事項

  1. 子どもの親権者
  2. 面会交流の条件(面会条件)

お金に関する事項

  1. 財産分与
  2. 離婚慰謝料
  3. 養育費
  4. 年金分割

なお、モラハラをしてくる配偶者との離婚を巡る争いは長期化する可能性があります。

婚姻費用を請求できる場合には、離婚の話し合いを有利に進めるためにも、積極的に婚姻費用を請求していきましょう。

2.子どもに関する事項

①子どもの親権者

夫婦の間に未成年の子どもが存在している場合は、離婚する際に子どもの親権者を夫婦のいずれか一方に決めなければなりません。

その他の離婚条件は離婚後に取り決めることも可能ですが、未成年の子どもの親権者だけは離婚する際に取り決めなければならないというのが法のルールです(民法819条1号〜3号)。

民法819条

1号
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。

2号
裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

3号
子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。

そのため、子どもの親権者を夫婦のいずれにするかが決まらなければ離婚は成立しません

相手が子どもの親権を本気で争ってきた場合は、協議(話し合い)や調停で離婚をまとめることが困難な場合が多いです。

相手が親権を争ってきた場合の対処法については、別の機会に詳しくまとめる予定です。

②面会交流の条件(面会条件)

面会交流の条件(面会条件)

面会交流の条件(面会条件)とは、離れて暮らすこととなった別居親(非監護親)と子どもとの交流を、どのような条件に基づいて行なっていくかの取り決めのことを言います。

【関連記事】面会交流(面会交渉)について

モラハラをしてきた配偶者といえども、子どもと血のつながった実の父親・実の母親であることに変わりはありません。

また、モラハラ人間だからといって、子どもに対する愛情がないとか低いという事情があるわけではなく、離れて暮らす子どもと会いたいと考えることは全くもって自然な感情です。

そのことは子どもにとっても全く同様であり、面会交流は子どもと離れて暮らしている親の権利であるとともに、別居親と離れて暮らしている子どもの権利でもあると考えられています。

裁判所も、一般的に、面会交流の実施は子の福祉に資する(子どもの健全な成長・発展のためには面会交流を実施することが望ましい)と考えています。

そのため、あなたが子どもと暮らしている場合は、基本的には面会交流の実施に協力していく方向で進めることが良いでしょう。


ただ、子どもが小さい場合は、面会交流を実施するためには通常子どもの引き渡しのために相手と対面する必要が生じます。

相手から受けてきたモラハラが原因で夫婦関係が破綻している場合は、子どものためといえども、相手と対面することが精神的にどうしても辛いと感じることもあるでしょう。

その場合は、

  1. 第三者に子どもの引き渡しをお願いする
  2. 面会交流の支援をしている第三者機関に支援をお願いする

といった方法も考えられます。

また、以下のような場合は面会交流の実施がむしろ子どものためにならない(子の福祉に反する)と言わなければならないかもしれません。

  1. 相手の酷いモラハラによって重篤な精神疾患を患ってしまった
  2. 離婚の話し合いが始まった以降も相手が攻撃的であり続けている
  3. 相手が子どもを虐待したり連れ去ったりする可能性がある
  4. 子ども自身が面会交流の実施を強く拒絶している

その場合は、面会交流の実施は慎重に検討する方が良いでしょう。

なお、夫婦の間で面会交流の条件(面会条件)の取り決めがまとまらない場合は、最終的には裁判所が審判で面会交流の条件(面会条件)を決定することとなります。

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3.お金に関する事項

①財産分与

お金に関する事項

財産分与に関しては概ねの計算方法が決まっていますので、その計算方法に基づいて計算をすれば解決する問題です。

ただし、相手が納得せずに財産資料の提出に誠実に協力をしなかったり、財産隠しを行なってきたりした場合には、財産分与を巡る争いが長期化する可能性があります。

また、財産分与の対象となる財産の範囲(特に特有財産性)や財産の評価方法などを巡って争っていかなければならない可能性もあります。

また、あなたが争わなかったとしても、相手があなたの財産隠しを疑ってきたり、財産分与の対象となる財産の範囲や財産の評価方法などに関してこだわってきたりした場合は、それに付き合わされて話し合いが長期化してしまう可能性もあります。

財産分与に関する話し合いが長期化しそうである場合には、相手の財産を徹底的に追及するかそれを程よく諦めて早期離婚の達成の方針で進めるか、どうすれば相手を納得させることができるかなどを検討する必要があります。

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②離婚慰謝料

離婚慰謝料

相手のモラハラによって精神的に深く傷つけられ、そのような相手のせいで婚姻関係が破綻した場合は、離婚に際して離婚慰謝料を請求することができる可能性があります。

あなたから離婚を切り出したものだったとしても、そうせざるを得ない程にあなたを追い詰めたのは相手です。

離婚慰謝料を請求することは、あなたの法律上の正当な権利です。

ただし、モラハラ人間は自分がモラハラ人間であることに気がついていない場合が多いので、相手は自分のせいで婚姻関係が破綻したことを受け入れずに認めないことが多いでしょう。

そのため、相手に対して離婚慰謝料を真正面から請求しても、相手はそれを全否定してくるでしょうから、話し合いはまとまりにくいです。

その場合は、まずは相手に対して、(相手の認識は別として)客観的に見て自分の行いがモラハラと言われるものであって、離婚の際に慰謝料を支払う責任を負うべき状況にあることを分かってもらう作業が必要です。

その上で、相手に「慰謝料」という名目での経済的支出に抵抗があるなら、「慰謝料」という名目での合意ではなく、たとえば「解決金」や「財産分与を含む解決金」などといった名称でプラスアルファの支払い合意をしてもらう方向で話し合いを進めることがあり得ます。

未払婚姻費用や財産分与の金額に関する争いがある場合には、そのような別のテーマの争いと一緒くたに合わせた上で、離婚時に相手から支払ってもらえる金額を(「慰謝料」の金額分)一定程度上乗せするという方向で話し合いを進めることも検討できます。

ただ、相手がどうしてもプラスアルファの支払いの合意に納得しなかった場合には、最終的には、早期解決を優先して慰謝料分の経済的給付を諦めることとするか、裁判離婚にて裁判所に慰謝料の支払いを認めてもらう方向で進めるかの判断をする必要が出てきます。

なお、モラハラを理由とする慰謝料に関しては、下記の記事もご確認ください。

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③養育費

離婚により親権を失ったとしても、実の父親・実の母親であることは変わりませんので、離婚後も扶養義務を負い続けることになります(民法877条1項)。

民法877条1項

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

このことは離婚の理由によって変わるものではありませんので、モラハラを理由とする離婚の場合も、あなたが子どもの親権者となった場合は、相手に養育費を請求することができます。

養育費は毎月支払ってもらえる費用ですので、最終的には「月額×12か月×養育費の終期までの年数」の金額を受け取ることができます。

子どものためにも、養育費は確実に支払ってもらうべきでしょう。

養育費に関して詳しくは、以下の記事をご確認ください。

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④年金分割

離婚の際には、年金分割を忘れずに行いましょう。

年金分割は離婚後2年以内であれば行うことができますが、離婚後2年が経過してしまうと救済されませんので、年金分割を希望する場合には早めに手続きを済ませてしまう方が良いでしょう。

年金分割について詳しくは、以下の記事をご確認ください。

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4.弁護士に相談しよう

弁護士に相談しよう

離婚問題は複雑であり、考えて決めていかなければならないことが沢山あります。

殊にモラハラを理由とする離婚は、話し合いが難航することが多く、ひとりで乗り越えることは精神的にとても辛いことです。

このような場合に弁護士に依頼するメリットは極めて多いです。

当事務所は離婚に関する60分無料法律相談を実施していますので、あなたの疑問や不安を全て投げかけてください。

一人で悩む必要はありません。

弁護士はあなたの最大の味方です。

記事では書ききれない工夫やノウハウも沢山ありますので、モラハラを理由に離婚を検討している場合は、是非当事務所の無料法律相談をご利用ください。

     

この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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