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プラトニック不倫とは、一般に、夫(妻)がいる者が夫(妻)以外の異性とプラトニックな恋愛関係(肉体関係の伴わない恋仲)を貫いている場合のことをいいます。
プラトニック不倫は「不貞行為」には当たらないため、離婚請求や慰謝料請求をすることが難しい場合も多いですし、法的にプラトニック不倫を終わらせる有効な方法があるわけでもありません。
法は、プラトニック不倫をしている男女の精神的な結びつきに対して特段の有効打を持っていません。
他方、法律上の責任を追求し難い行為であるからといって、それをされた配偶者がプラトニック不倫を許容しなければならないということではありませんし、プラトニック不倫であっても慰謝料請求や離婚請求が認められる場合もあります。
1.プラトニック不倫・セカンドパートナーとは
プラトニック不倫とは、一般に、配偶者以外の異性とプラトニックな恋愛関係(=肉体関係の伴わない恋仲)を貫いている場合のことをいいます。
また、プラトニック不倫・プラトニックラブの関係にある相手の異性のことを、セカンドパートナーと呼ぶ場合があります。
人は、異性に恋をした際、その異性との間での①精神的な結合関係と②肉体的な結合関係を求めるものです。
プラトニック不倫は、男女がそのうちの①精神的な結合関係のみを相互に求めるにとどまっている場合に成り立つ関係性です。
このようなプラトニック不倫には、いわゆる通常の浮気・不倫(不貞)とは異なる特徴があります。
プラトニック不倫の法律上の扱い、どのようなリスクを伴う関係なのかについて、以下で解説します。
2.プラトニック不倫は「不貞」なの?
「不倫」という言葉は世間でよく使われていますが、実はこの「不倫」という言葉は法律には規定されていません。
法律上は「不貞」という言葉で、法定離婚原因(裁判所が離婚判決を出す事情)を定めた民法770条1項1号に規定されています。
法律に規定されている「不貞」
民法770条1項
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
「不倫」という言葉はそれを用いる人によって様々な意味合いで用いられることがあり、その言葉が用いられている文脈に応じて、いったいどのような行為が不倫であるかの範囲が微妙に違っていたりします。
それに対して、「不貞」は、どのような行為が「不貞」であるかが明確に決まっています。
「不貞」とは、一般に既婚者が「配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすることをいい」、性交渉とは男性器の女性器への挿入行為をいいます。
つまり、最も一般的な意味合いで用いられているいわゆる「不倫」(肉体関係を伴う男女の関係)は「不貞」に当たります。
他方、プラトニック不倫は肉体関係を伴わない男女の関係を意味しています。
そのため、たとえお互いに相思相愛の深い信頼で結ばれていたとしても、愛情表現たっぷりの言葉を交わしていたとしても、頻繁にデートなどの逢瀬を重ねていたとしても、キスをしていたり抱き締め合っていたりしていたとしても、肉体関係を持たない状況を続けている以上は、基本的に「不貞」には当たりません。
3.プラトニック不倫と似て非なる男女関係
⑴異性の友人との関係
プラトニック不倫の関係と異性の友人・友達との関係との大きな違いは、お互いに恋愛感情を抱いているかどうかの点にあります。
異性の友人は、男女間だとしてもあくまで友人であり、そのような異性の友人との交流は恋愛ではありません。
他方、プラトニック不倫は、互いに唯一無二の存在としての精神的な結合関係を維持・継続・発展させていきたいと考えているような関係であり、恋愛の切なさや楽しさを味わっている関係です。
ただ、いずれにしても肉体関係の伴わない関係性であるため「不貞」には当たりません。
⑵セックスフレンドとの関係
セックスフレンドとは、一般に、肉体関係を有しているものの、お互いに恋愛感情を有しているものではない場合をいいます。
フレンドとはいうものの、友人ではなく、ただお互いセックスをすることだけ(肉体的欲求を満たすことだけ)を目的とする関係の場合もあります。
いずれにしてもセックスフレンドは肉体関係を伴う関係であるので、「不貞」に当たります。
4.プラトニック不倫で慰謝料は発生する?
⑴プラトニック不倫では慰謝料責任は発生しない
肉体関係を伴う”いわゆる不倫”をした場合には慰謝料を支払わなければならないことになる、ということは世間でよく知られています。
不倫をすることで慰謝料責任が発生する理由は、不倫が「不貞」という法定離婚原因(裁判所が離婚判決を出す事情。民法770条1項1号)に該当するほどに夫婦の婚姻関係に多大なダメージを与える行為であるからです。
夫婦は、法律上互いに貞操義務(他の異性と性的な結合関係を結ばないという義務)を負っています。
「不貞」(配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすること)はこの貞操義務に違反する行為であり、「不貞」された配偶者の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為です。
そのため、「不貞」は不法行為(民法709条)とされ、「不貞」をした人はそれによって「不貞」された配偶者が被った損害を賠償する責任(慰謝料を支払う義務)を負うことになるのです。
しかし、プラトニック不倫は肉体関係を伴わない男女の関係ですので、「不貞」には該当せず、貞操義務に違反する行為とまではいえません。
そのため、プラトニック不倫は不法行為にはならないため、基本的に慰謝料責任は発生しません。
⑵プラトニック不倫で慰謝料が発生する場合
- 裁判所に誤解されて肉体関係が存在していたことにされる可能性
プラトニック不倫をしており、それが自分の配偶者もしくは交際相手の配偶者にバレた場合には、不貞行為の慰謝料を請求される可能性があります。
そして、不貞慰謝料請求をしてきた相手が「2人の間には肉体関係が絶対にあったはずだ!」と主張して全く譲らない場合には、2人の関係が肉体関係を伴う不倫(「不貞」)であったのか・それともプラトニック不倫であったのかを決めるのは客観的真実ではなく、裁判所です。
そして、裁判所は、当事者間で存否の争いがある事実(この場合は肉体関係の有無)について、基本的に証拠に基づいてその存否を判断します。
プラトニック不倫は肉体関係を伴わない関係ですので、肉体関係があったことの証拠など本来この世に存在していないはずです。
ただ、ここで問題となるのは、肉体関係の存否の証拠は、実は肉体関係それ自体を直接証明するものでなくても良いとされているということです。
というのも、およそいかなる不倫(「不貞」)であったとしても、肉体関係(男性器の女性器への挿入行為)それ自体を直接証明する証拠(挿入している状況の動画や写真など)は通常存在していませんし、裁判所に証拠として提出されることも滅多にありません。
裁判所は、男女間に肉体関係が存在していた可能性が高いと考えられる状況にあったことが証拠上明らかとなれば、仮に本当は肉体関係が存在していなかったとしても、肉体関係が存在していたと認定します。
例えば、以下のような証拠が存在している場合には、裁判所は肉体関係が存在していたと認定する可能性が高いです。
- ラブホテルに出入りしていることを証明する写真など
- 2人きりで宿泊を伴う旅行に出かけたことを証明する写真や旅館の領収書など
- 男女のいずれかの自宅に長時間滞在・宿泊したことを証明する写真など
- 同棲していることを証明する写真や住民票など
- 肉体関係が存在している男女間のやり取りとしか思えないような内容のLINE・メール・SNSでのやり取りの証拠
- 男女の一方による、自身の友人などに対する、交際相手との間での肉体関係が存在していること告げたりそれを前提として今後の関係性を相談していたりする内容のLINE・メール・SNSでのやり取りの証拠
- 配偶者に対して性的な経験・肉体関係が存在していたことを認めたように見える謝罪文などの証拠
このような証拠が存在している場合には、「ラブホテルには行ったがセックスはしていない!落ち着いた環境で話をしたかっただけだ!」「LINEのやり取りは肉体関係があったかのようにお互いに演じたやり取りをしていただけである!断じて肉体関係はない!」などといくら主張しても、たとえ肉体関係がないことが真実であったとしても、裁判所には通じない可能性が高いです。
このように、本当に肉体関係が存在していなかったとしても、裁判所に肉体関係が存在していたものと誤解された結果、不貞行為をしたこととされ、慰謝料を支払う責任が認められる可能性があります。
アドバンスな交渉戦略①
上記のような肉体関係を示唆する証拠が存在していたとしても、それでもなおプラトニックな関係であったということを証明する証拠が存在していれば、裁判所が肉体関係を伴わないプラトニックな関係性であったことを認めてくれる可能性が高まります。
例えば、プラトニック不倫の当事者間でLINEなどにより肉体関係を伴う関係ではないことが分かるようなやり取りをしていた場合には、それをプラトニックな関係であったことの証拠として提出することが考えられます。
また、身体的に肉体関係を有することができない事情がある場合には、そのような事情が存在していることが分かる資料(診断書など)を証拠として提出することで、裁判所に肉体関係を有する関係ではなかったと認めてもらえるでしょう。
プラトニックな関係であったことの証拠の例
- 肉体関係を伴う関係ではないことが分かるLINE・メール・SNSでのやり取りの証拠
- 身体的に肉体関係を有することができない事情が存在していることの証拠(診断書など)
ただ、診断書などであればまだしも、当事者間のLINEなどのやり取りの証拠のみでは、裁判所に通じない可能性が高いと思われます。
- 夫婦の婚姻関係を破綻させたという理由で慰謝料が発生する場合
「不貞」は婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為であり、夫婦の婚姻関係に多大なダメージを与える行為です。
そして、夫婦の婚姻関係に対するダメージを与える行為であるという点は、肉体関係を伴う不倫でもプラトニック不倫でも変わりはないとも思われます。
確かに、肉体関係を伴う不倫とプラトニック不倫とでは、不倫された配偶者の心情としては、自身の夫(妻)が他の異性と肉体的結合を行ったか行っていないかの点や、子どもを宿すような行為を行なったか行なっていないかなどの点で、被る精神的苦痛の程度は変わってくるとも言えるでしょう。
しかしながら、純粋に性的な欲求の解消のみを目的としたセックスフレンドとの「不貞」よりも、特定の異性との間で肉体的快楽を度外視した強固な精神的結合関係が構築されているプラトニック不倫の方が、夫婦間の情緒的繋がりを本質的に根本から崩壊させるだけの多大なダメージを与え得るものと言い得る場合もあるでしょう。
ただ、裁判所は、あくまでも肉体的な結合の有無(すなわち「不貞行為」であるかどうか)を重視しており、肉体関係がない場合(すなわち「不貞行為」が存在していない)場合には慰謝料責任を認めないのが原則です。
他方、裁判所は、例外的に、以下のような事情がある場合には、プラトニックな関係である場合であったとしても慰謝料責任の発生を認める場合があります。
具体的には、一定程度の親密な肉体的接触関係があり、かつ、積極的に夫婦の婚姻関係を破綻させる方向のアクションを行っており、それが夫婦の婚姻関係の破綻の一因となっていたなどの事情が存在している場合です。
プラトニック不倫で慰謝料責任が発生し得る場合
- 一定程度の親密な肉体的接触関係があること
⇨キスをしたり抱き締め合ったりしているような関係 - 積極的に夫婦の婚姻関係を破綻させる方向のアクションをしたこと
・離婚して結婚する約束をしていた
・別居や離婚を求めていた
・配偶者に対して、自分の存在や不倫相手との親密な関係性を示すような行為をした - それが夫婦の婚姻関係の破綻の一因となっていたこと
ただし、この場合に認められ得る慰謝料の金額は、一般に、相当低額に止まる例が多いのが実情です。
アドバンスな交渉戦略②
地方裁判所の裁判例の中には、少数ながら、一見して容易にプラトニック不倫の慰謝料請求を認めているケースも存在しています。
ただ、そのような裁判例は極少数に止まっており、また、判決文には現れていないような様々な理由・関連する事実が背景事情として存在していたものとも考えられるところであり、やはりプラトニック不倫を理由とする慰謝料請求は一般に相当ハードルが高いものと言わざるを得ないでしょう。
5.プラトニック不倫と離婚問題
⑴プラトニック不倫をされた側の離婚の進め方
プラトニック不倫をしている夫(妻)に愛想が尽き、離婚を決意した場合には、どのように離婚問題を進めていけば良いでしょうか。
- 離婚協議→離婚調停
まずはプラトニック不倫をしていた配偶者に離婚を切り出して、相手が離婚すること自体に応じており、そして離婚条件についても話し合いでまとまりそうであれば、協議離婚で早期に離婚が成立する可能性があります。
ただし、相手が離婚することを拒否したり、離婚条件について合意できない場合には、家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てて、調停離婚の成立を目指すこととなります。
離婚調停では、指定された調停期日に当事者双方が家庭裁判所に赴いて、離婚すること自体や離婚条件(慰謝料、財産分与、子供の親権、養育費など)について、調停委員を間に入れて話し合いをします。
調停を経ても相手との合意が形成できず、離婚調停が不成立となって終了した場合には、最終的には離婚裁判を提起して離婚及び離婚条件を争っていくことが必要となります。
- 裁判離婚
離婚裁判では、裁判所が法定離婚原因が存在していると判断すれば離婚判決が出されますし、裁判所が法定離婚原因が存在していないと判断すれば離婚請求の棄却判決(離婚請求を認めない、との判決)が出されます。
法定離婚原因は、以下の5つです。
法定離婚原因(民法770条1項)
- 「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
- 「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
- 「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
- 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
- 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)
プラトニック不倫を理由とする離婚の場合は、上述したようにプラトニック不倫は「不貞」(1号)には当たりませんので、「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)が認められるかどうかがメインの争いとなるケースが多いです。
そして、プラトニック不倫が原因で夫婦間に発生した具体的なマイナスの事情次第では、裁判所が「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在すると認める可能性は十分にあります。
プラトニック不倫が原因で夫婦間に発生したマイナスの事情の具体例
- 夫が遅くまで帰宅しないようになった
- 夫が職場の女性と会うために不必要な休日出勤や残業をするようになった
- 夫が家事・育児に協力せずに女性と会うことを優先するようになった
- 家族との時間を大切してくれていたはずの夫が自宅内で常にスマホを見ているようになった
- 夫が何かにつけて自身と女性を比べるようなことを言うようになった
- 夫が無視をするようになった
- 夫が、夫婦関係の悪化・破綻を望んでいるかのような無配慮な言動を行うようになった
↓
そのような事情の積み重ねの結果、夫婦の関係性が悪化した状況が固定化された
- 夫婦喧嘩が絶えない状況になった
- 互いに言葉を交わさないようになった
- セックスレスになった
- 別居・家庭内別居の状況になった
その他にも、配偶者が自分と別居して不倫相手と同棲をしているなどの場合には、「悪意の遺棄」(2号)に該当し、慰謝料請求が認められる可能性もあります。
なお、配偶者が不倫相手と同棲している場合であれば、よほどの例外的事情が存在していない限り「不貞」(1号)が認められますので、離婚も慰謝料請求も認められる可能性が高いでしょう。
⑵プラトニック不倫をしていた側の離婚の進め方
- 協議離婚→調停離婚
プラトニック不倫をしていたことが配偶者に発覚したことがきっかけとなって、配偶者との離婚を検討する場合には、どのように離婚問題を進めていけば良いでしょうか。
この場合も、相手が離婚に応じるのであれば、協議離婚が成立する可能性があります。
ただ、相手が離婚することに応じない場合には、いきなり離婚裁判を提起することは法律上認められていませんので(調停前置主義)、まずは家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てて、調停委員を間に入れて離婚の話し合いを行っていくこととなります。
そして、調停を経ても相手との合意が形成できず、離婚調停が不成立となって終了した場合には、最終的には離婚裁判を提起して離婚及び離婚条件を争っていくことが必要となります。
- 裁判離婚
離婚裁判において注意するべき点は、実際のところは肉体関係が一切ない男女交際だったとしても、裁判所に誤解されて肉体関係が存在していたことにされてしまう可能性があるということです。
仮に裁判所に肉体関係を伴う不倫(=不貞)をしたものと認定されてしまった場合には、あなたは「有責配偶者」とされてしまう可能性があります。
また、裁判所に「不貞」はなかった(プラトニックな関係であった(肉体関係を伴わない関係性であった))と認定された場合であったとしても、そのプラトニック不倫が主な原因となって夫婦の間に「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)が存在するに至ったと認められた場合には、やはり「有責配偶者」とされてしまう可能性があります。
有責配偶者とは夫婦の婚姻関係の破綻に主な責任を負う配偶者のことを指します。
そして、裁判所は、有責配偶者からの離婚請求は、厳格な例外要件を充足しない限り認めていません。
有責配偶者からの離婚請求が認められるための要件
- 夫婦の婚姻関係が破綻していること
+
- 婚姻期間と比較して相当長期の別居の継続
- 未成熟の子がいないこと
- 離婚によって他方配偶者が精神的・経済的に苛酷な状況におかれないこと
つまり、裁判所に有責配偶者と認定されてしまったら、そうでない場合と比べて、裁判所に離婚判決を出してもらうまでに相当長い期間やコストが必要となってしまう状況になります。
有責配偶者でも離婚は可能!好きな人ができた時の離婚までの進め方
6.プラトニックな関係の維持は困難
プラトニック不倫は、男女が精神的な結合関係のみを相互に求めるにとどまっている場合に成り立つ関係性です。
プラトニックな関係性を貫いている理由は、以下のように様々な理由が考えられます。
プラトニックな関係性を貫いている理由の一例
- 肉体的な欲求に引きずられることなく異性と強い信頼関係で結ばれている状況に浸かっていたいという思いがある場合
- 肉体的な欲求を満たす相手は別にいるために特段欲していない場合
- 肉体関係に及ぶことのリスクを避けつつも恋愛を楽しみたいという思いがある場合
- 倫理観・道徳観など
ただ、プラトニック不倫の関係にある男女は、相互に恋愛感情を有していることを認識しつつ、互いに唯一無二の存在としての精神的な結合関係を深めていきたいと考えているような間柄です。
そのような関係を続けるうちに肉体的な結合を欲する気持ちが生じ、あるいは関係性が深まっていけば深まっていくほどその欲求が強まっていくこともあり得ることです。
また、好きになった相手が肉体関係を伴う不倫(「不貞」)に消極的であると思われるために、自身も(本心では肉体的な結合を欲する気持ちがありつつも)プラトニックな関係のみを欲しているという体で交際を続けている場合もあります。
そして、男女の一方が肉体的な欲求をどうしても抑えられなくなって、肉体的な結合を求めるようになった時、従前からのプラトニックな関係性は形を変えることになります。
それに応じる場合には、肉体関係を伴ういわゆる通常の不倫(「不貞」)の関係に至ることとなります。
他方、それに応じない場合には、一度抑えきれなくなった肉体的な欲求を頭から振り払って元の精神的な結合関係のみを求める状況に回帰することは困難な場合も多いですので、男女が相互に相手に対して求めている関係性の程度に差が生じている状況に至ることとなります。
そうなれば、従前通りの安定した精神的な結合関係を維持・継続することは相当困難なものとなるでしょう。
7.プラトニック不倫に法ができることは少ない
プラトニック不倫とは、言い方を変えれば、両思いの男女が「不貞」せずに精神的な結び付きや恋愛を楽しんでいる状況と言うことができます。
夫(妻)が自分以外の異性を心の拠り所として楽しく恋愛している状況は、プラトニック不倫をされている配偶者にとってはたまったものではないでしょう。
ただ、ここまで見てきたことを裏返せば、裁判所に「不貞行為」があったと誤解されるような行動をせず、相手の配偶者に対して存在をアピールしたり相手に結婚を求めたり配偶者との別居・離婚を求めたりするようなこともなく、別居して同棲するなど「悪意の遺棄」に該当するような行動もしていない場合には、法律的な対処法は相当限られてきます。
法的にプラトニック不倫をしている男女を別れさせる方法があるわけではありませんし、法に人の心を変える力があるわけでもありません。
このように、プラトニック不倫の関係にある男女がプラトニックな関係性を維持している場合には、それが倫理的・道徳的に許されるかどうかは別論、法的に責任を問うことは事実上困難な場合が多いです。
法は、夫(妻)と配偶者以外の異性との精神的な結び付きに対して特段の有効打を持っていません。
ただ、法律上の責任を追求し難い行為であるからといって、プラトニック不倫をされた配偶者が、プラトニック不倫を許容して、プラトニック不倫をしている夫(妻)のことを従前通りの愛情を持って受け入れなければならないということではありません。
プラトニック不倫の関係を続ける夫(妻)に愛想が尽き、離婚を希望することはあり得る考えです。
相手も離婚を希望しているような状況であれば、離婚条件(経済的な給付金額)をできる限り釣り上げる方向で話し合っていけるだけの状況にある場合も多いです。
また、相手が離婚を拒否してきた場合には、例えば別居した上で生活費(婚姻費用)の支払いを受けつつじっくりと離婚問題を進めていくことなどによって、最大限の経済的な利益を獲得しつつ離婚の成立をさせることが十分可能な場合もあります。
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