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好きになる心(本能)vs結婚のルール(理性)
婚外恋愛とは、既婚者が配偶者以外の異性と恋愛することです。
人の心には異性に恋をする機能が本能的に備わっており、結婚したからといってそれが失われるわけではありません。
そのため、理性ではいけないことだと分かっていても、配偶者以外の異性を好きになってしまうことがあります。
ただし、夫以外の男性と恋愛することにはリスクがつきまといます。
夫以外の男性とプラトニックな恋愛関係を築くにとどまらず、肉体的に結ばれる(不倫・不貞の関係となる)ことは結婚の「正しいルール」に違反する行為です。
その場合は、①夫から離婚・慰謝料を請求されるリスク、②恋人の男性を紛争に巻き込んでしまうリスク、③恋人の男性の妻から慰謝料を請求されるリスク、④夫と離婚できなくなるリスク、⑤夫と別居した際に婚姻費用がもらえないリスクが発生します。
1.夫以外の男性を好きになってしまうことは避けられない!?
人の心には異性に恋をする機能が本能的に備わっており、結婚したからといってそれが失われるわけではありません。
実際、探偵社などが実施しているアンケートの結果を分析すると、浮気・不倫をしたことがある人の割合が2割を下回っている結果は見られず、3割を超えている例も多く見られます。
浮気・不倫は隠れてするものであり通常他人に言うものではありませんので、実際に配偶者以外の異性と恋愛している人の割合は3割を大きく超えている可能性さえあります。
人は、結婚していても配偶者以外の異性と浮気・不倫をしてしまうことがある生き物です。
しかし、夫以外の男性と交際(浮気・不倫)することは結婚の「正しいルール」に違反する行為です。
2.肉体関係さえなければセーフ?
夫以外の男性との付き合い方は様々であり、会話を楽しんだり食事などに行ったりするだけのプラトニックな関係にとどまっている場合もありますし、繰り返し肉体関係を結んでいるような関係の場合もあります。
気持ちの程度も様々であり、ただの遊びや流れてそのような関係となっているに過ぎない場合もありますし、本気の恋に落ちてしまう場合もあります。
ただ、法律上「不貞」と言われるのは、配偶者以外の異性と性交渉又はその類似行為をすることです。
そのため、「不貞」かどうかは、原則として、気持ちの程度や会話の内容・デートの頻度などとは無関係であり、ただ肉体関係があるかないかで判断されます。
つまり、たとえお互いに相思相愛の深い信頼で結ばれていたとしても、愛情表現たっぷりの言葉を交わしていたとしても、頻繁にデートなどの逢瀬を重ねていたとしても、キスをしていたり抱き締め合っていたりしていたとしても、肉体関係を結んでいなければ「不貞」ではないということです。
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3.「不貞」をした場合のリスク
夫以外の男性と不貞の関係にあることが夫に発覚した場合には、以下のリスクがあります。
- 夫から離婚・慰謝料を請求されるリスク
- 恋人の男性を紛争に巻き込んでしまうリスク
- 恋人の男性の妻から慰謝料を請求されるリスク
- 夫と離婚できなくなるリスク
- 夫と別居した際に婚姻費用がもらえないリスク
①夫から離婚・慰謝料を請求されるリスク
「不貞」は法定離婚原因です(「配偶者に不貞な行為があったとき」(民法770条1項1号))。
そのため、たとえただの遊びのつもりで男性との婚外恋愛を楽しんでいたものであって、夫と離婚する気など全くなかったとしても、夫がそれを許さずに離婚を望む場合は、最終的には離婚裁判で離婚判決が出されてしまうリスクがあります。
しかも、離婚の際には150万円〜300万円程度の離婚慰謝料を支払わなければならないことになるリスクもあります。
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ただし、「不貞」したからといって養育費や財産分与などとった他の離婚の際の請求ができなくなるものではありません。
養育費や財産分与などといった他の離婚条件に関しては、あなたの「不貞」とは無関係に夫に請求することが可能です。
夫と離婚した後に不倫が発覚した場合
夫が不倫のことを知らないまま夫と離婚するに至ったとしても、離婚した後になって、夫に不倫の事実が発覚することがあります。
例えば、夫と離婚した直後に恋人の男性と再婚したことや、夫と同居していた住居に残していった物品などがきっかけとなって、離婚後に夫があなたの不倫を知ることとなることはあり得ることです。
その場合でも、一度成立した離婚が無効となったり取り消されたりすることは通常ありません。
ただし、その場合は、離婚成立後であったとしても、夫から不倫慰謝料請求をされる可能性があります。
②恋人の男性を紛争に巻き込んでしまうリスク
夫があなたの恋人の男性に対して不倫慰謝料請求をしてくる場合があります。
その場合は、夫と恋人の男性との間で不倫の慰謝料請求を巡る紛争が開始されることとなります。
浮気・不倫をされた夫は、悔しさや悲しみから感情的になり、法外に高額な不倫慰謝料請求をしてきたり、直接の謝罪を要求したり、職場を辞めるように迫ったり、脅迫まがいの言動をしてくる場合もあります。
そのような紛争に対応していくことはとてもストレスフルなものです。
求償権・求償請求について
恋人の男性があなたの夫に不倫慰謝料を支払った場合には、恋人の男性はあなたに対して求償権を取得することとなります。
不倫は一人でするものではなく男女が共同して行うものですので、不倫の責任は不倫の当事者である男女が共に負うこととなります。
しかし、不倫慰謝料の請求は、法律上、不倫の当事者双方に請求するのではなく、不倫の当事者の片方のみに請求することが認められています。
そして、不倫の当事者の片方のみが不倫慰謝料を支払った場合には、本来であれば不倫の他方当事者が負うべき慰謝料の分も一人で支払っていることになります。
そのため、恋人の男性が夫に対して不倫慰謝料を支払った場合には、恋人の男性はあなたに対してあなたが負うべき責任の分の金員(通常慰謝料総額の4割〜6割程度)を請求する権利を取得することとなります。
この恋人の男性のあなたに対する請求権のことを求償権といい、求償権に基づく請求のことを求償請求といいます。
なお、逆にあなたが夫に対して不倫慰謝料を支払った場合には、あなたは恋人の男性に対して求償請求をすることができます。
関連記事:慰謝料を支払ったが求償権を行使したい
③恋人の男性の妻から慰謝料を請求されるリスク
恋人の男性が既婚者だった(ダブル不倫だった)場合は、その恋人の男性の妻から不貞慰謝料請求を受けるリスクがあります。
なお、ダブル不倫の当事者に不倫の事実が発覚した場合には、極めて複雑錯綜した状況に陥っていくリスクがあります。
ダブル不倫が発覚した場合の状況については【ダブル不倫で慰謝料を請求された方】にて詳しく説明していますので、併せてご確認ください。
④夫と離婚できなくなるリスク
「不貞」をしたあなたはいわゆる「有責配偶者」(婚姻関係の破綻に主な責任を負う配偶者)であるとされてしまうリスクがあります。
「有責配偶者」とされてしまった場合には、裁判所は原則として離婚を認めてくれません。
そのため、夫が離婚に合意しなければ、長い期間離婚したくても離婚できない状況に陥ってしまうリスクがあります。
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⑤夫と別居した際に婚姻費用がもらえないリスク
夫と別居した場合は、夫に対して生活費(婚姻費用)を請求することができます。
しかし、あなたが「有責配偶者」とされてしまった場合には、夫に対して生活費(婚姻費用)を請求することが権利濫用又は信義則上許されないとされてしまうリスクがあります。
なお、その場合でもあなたが子どもと暮らしている場合には、養育費相当額の支払いは受けることができます。
4.人生という有限の時間を誰と生きるかという問題
夫との結婚生活を続けながら夫にバレないように婚外恋愛を続けていくことは、恋人との関係が深まるにつれて困難となっていくものです。
夫との関係を取るか恋人の男性との関係を取るかの選択を迫られる時が来るかもしれません。
恋人との関係を解消して、夫との関係を円満に維持・継続するための努力をしていくとの選択をすることもあるでしょう。
また、夫との関係を解消する方向で人生の舵を切ることもあり得る選択です。
「好きな人ができた」という理由で始まった離婚問題や、浮気・不倫をしていた有責配偶者からの離婚請求により始まった離婚問題が、離婚が成立する形で解決することは特に珍しいことではなく、よくある離婚の形の一つでもあります。
レイスター法律事務所では、無料相談において、
- 不倫慰謝料に関するリスクの状況
- 離婚に向けて進める場合の離婚の成立可能性
- 離婚交渉の方針や早期離婚達成のための交渉戦略
- 離婚が成立する場合の離婚条件(財産分与・慰謝料・養育費など)の金額の幅などの離婚問題全般の見通し
などについて、具体的なアドバイスを行なっています。
婚外恋愛や不倫、離婚問題でお悩みの際は、是非、こちらからお気軽にご連絡ください。