離婚調停で離婚を有利に!離婚調停を早期に申し立てた方が良いケース

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離婚協議を続けるか、離婚調停に進むか

 離婚の種類には協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚がありますが、圧倒的多数の夫婦が協議離婚の形で離婚しています。
 協議離婚は夫婦の双方が離婚することに同意した上で役所に離婚届を提出するだけで成立しますので、相手との間で合意が形成できるのであれば、協議離婚が最も早期に離婚することができる方法です。
 ただし、事情によっては、協議離婚の成立を早急に諦めて離婚調停を申し立てた方が結果として早期に有利な条件で離婚が達成できると思われる場合もあります。
 この記事では、離婚調停を早期に申し立てた方が良いケースについて解説します。

1.離婚調停に関する基本事項

離婚調停とは、夫婦間の離婚問題を解決するために、裁判所(調停委員会)が仲介して夫婦間の合意を成立させるための手続きであり、離婚調停の正式名称は「夫婦関係調整調停」と言います。

参考:裁判所・家事事件・夫婦関係調整調停(離婚)

離婚調停は、夫婦間で離婚の話し合いがまとまらない場合や、夫婦間で離婚の話し合いができないような状況である場合に、離婚の話し合いを進めるために利用されます。

離婚調停では、調停委員が離婚に合意しない方を離婚に合意させようと必死に検討してくれることもあり、全体の半数近く(離婚調停中に協議離婚が成立した場合も含む)で離婚の合意が成立しており、離婚調停に弁護士が関与している場合にはさらに離婚合意の成立率は高まります。

参照:裁判所・令和4年 司法統計年報(家事編) 

離婚調停を申し立てるための条件はありませんので、夫婦間で離婚の話し合いを一切することなくいきなり離婚調停を申し立てることも可能です。

ただ、調停の初回期日から調停手続きが終了するまでの期間は平均して概ね6か月程度であるため、離婚調停を申し立てて離婚の話し合いを進める場合、離婚の合意が成立するまでに相応の期間を要することとなる可能性があります。

そのため、相手と話し合って「離婚すること」と「離婚条件」の合意ができそうであれば、離婚調停を申し立てるのではなく、まずは協議離婚の成立を目指すことで良いでしょう。

実際、離婚の数では、調停離婚に比べて、圧倒的に多数の夫婦が話し合って協議離婚という形で離婚を成立させています。

他方、事情によっては離婚調停を早期に申し立てた方が結果として早期に有利な条件下で離婚が達成できると思われるケースも存在します。

この記事では、離婚調停を早期に申し立てた方が良いと思われるケースについて解説します。

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2.離婚調停を早期に申し立てた方がよいケース

離婚調停を早期に申し立てた方がよいと思われる典型的なケースは、以下のケースです。

離婚調停を早期に申し立てた方がよいケース

  1. 相手が離婚を考えていない・相手に離婚する意思がない・相手が離婚を拒否している場合
  2. 離婚条件の話し合いがまとまりそうもない・話し合いができない場合
  3. 相手と顔を合わせたくない・直接やり取りしたくない場合
  4. 相手と同居中の場合
  5. 相手が精神的に不安定な気質であったりDV・モラハラ気質である場合
  6. 相手が口先だけで言ったことを簡単に破るタイプである場合
  7. 相手に慰謝料を支払ってもらいたい場合
  8. 相手があなたのことを憎んでいる・あなたが要求しているから応じたくないと考えていると思われる場合

①相手が離婚を考えていない・相手に離婚する意思がない・相手が離婚を拒否している場合

そもそも相手が離婚を考えていない場合や、相手に離婚する意思がない場合は、相手には「離婚達成」というモチベーションがありません。

それどころか、相手が離婚を拒否している場合には、相手が離婚という望まぬ結論に辿り着くことをどうにか阻止したいと考えている場合もあります。

そのような相手との間で離婚問題の話し合いを進めても、相手との話し合いは延々と平行線が続くだけであり、いつまで経っても結局は離婚の成立には至らない可能性があります。

このような場合には、離婚調停を申し立てることで相手に対して自分が心から本気で離婚を希望していることを明確に突きつけつつ、相手に定期的に裁判所まで出頭させ、調停委員を間に挟んで離婚に合意するよう働きかけることにより、離婚に向けた話し合いを進めることが必要です。

②離婚条件の話し合いがまとまりそうもない・話し合いができない場合

相手も離婚を考えている(相手にも離婚する意思がある)場合には、夫婦の間で離婚問題について話し合って協議離婚の形で離婚成立まで進められる可能性が十分にあります。

その場合は、弁護士の無料相談などを利用して、相手との対立を深めることなく、離婚条件を1つ1つ決めていくことで、早期の協議離婚の成立を目指す方針で良いことが多いです。

ただ、相手との間で離婚条件に関する合意ができない場合や、相手の提示してきている離婚条件に納得できない場合もあるでしょう。

離婚問題は様々な感情的な要因が絡み合うものですし、離婚条件は離婚後の生活も見据えた上で慎重に検討する必要があるものですので、当事者の双方ともに納得できる最低限度の条件が一致しない場合は良くあります。

そのような場合に、このまま相手と話し合いを続けても、全く話し合いが進展せずに話し合いが暗礁に乗り上げて停止してしまったり、夫婦間の感情的な対立が深まるばかりで状況が悪化していってしまう可能性があります。

このような場合には、調停委員会という中立公平な第三者からの助言が話し合いを進展させるきっかけとなりますので、離婚調停の手続きを利用するメリットがあるでしょう。

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③相手と顔を合わせたくない・直接やり取りしたくない場合

相手と顔を合わせたり、相手と直接やり取りをしたりすることが辛い場合には、弁護士に依頼をした上で、離婚調停を申し立てることが有用です。

依頼を受けた弁護士は、まずあなたの日常生活の平穏を維持するために、相手に対して、あなたの自宅・実家・職場への連絡・来訪を固く拒否する旨を通告し、今後の連絡は全て弁護士に対してのみ行うよう強く要請します。

また、離婚調停の制度を利用することで、基本的に相手と顔を合わせることなく離婚の話し合いを進めることができます。

さらに、弁護士に依頼している場合であれば、弁護士は離婚調停の期日において常にあなたと一緒に行動し、調停室にもあなたと一緒に入ってあなたの主張を代弁し、裁判所から相手との同席を求められた場合にも弁護士があなたの代わりに相手と同席して調停手続きを進めることができます。

このような方法をとることにより、相手の顔を見たり直接のやり取りをしたりすることを一切せずに離婚を成立させることができます

④相手と同居中の場合

離婚問題は精神的に極めてストレスフルな問題であり、大小数多の感情的な対立が点在していることが多い問題です。

そのため、同居中に離婚問題を進めている状況では、相手の突発的・感情的な言動の被害を被ってしまうリスクが常にあります。

しかも、同居中であるということは相手と生活の本拠が同一ということですので、相手が精神的に荒れてしまったり、攻撃的になってしまった場合には逃げ場がありません。

また、子どもと一緒に生活をしている場合には、子どもに夫婦の言い争いを見せてしまうことにもなりかねません。

このようなリスクを最小限にとどめるためには、同じ自宅内で相手との間で離婚問題について話し合うことは極力避けることが望ましいでしょう(特に相手が精神的に不安定な気質であったり、DV・モラハラ気質である場合には要注意です。)。

そのため、同居中に離婚問題を進めるための手段として、離婚調停を申し立てた上で、相手との間で、「離婚に関する事項は自宅内ではお互いに一切せずに全て離婚調停の期日でのみ話し合うこととする」といった話し合いの交通整理を行うことが有用です。

離婚調停を申し立てることにより、夫婦の話し合いの間に調停委員という裁判所に所属する第三者に間に入ってもらうことになりますので、そのこと自体に相手を強くけん制する効果があります。

相手としても、あなたと不必要に感情的対立が激化することは本来メリットがあるものではありませんので、このような話し合いの交通整理に応じてくれる場合も多いです。

また、仮に相手から自宅内で離婚に関する事項を申し向けられても、「それは調停でお願いします」との一点張りで取り合わないことで、相手との感情的対立の激化を最小限度に抑えることができます。

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⑤相手が精神的に不安定な気質であったりDV・モラハラ気質である場合

相手が精神的に不安定な気質であったりDV・モラハラ気質であったりする場合は、離婚の話し合いが難航する場合も多いです。

その場合は、離婚調停を申し立てて、調停委員を通じて、相手との間の話し合いの状況を整理して、夫婦間の対立点や問題点を1つ1つ明確にした上で話し合いを進めていくことが、結局は離婚合意の成立の近道となる場合があります。

なお、相手がDV・モラハラ気質である場合の離婚問題の進め方に関しては、様々な注意点がありますので、以下の記事も併せてご確認ください。

⑥相手が口先だけで言ったことを簡単に破るタイプである場合

相手が口先だけの調子のいいことを発言したり、その場限りのいい加減なことを発言したりするタイプである場合は、離婚の話し合いは否応がなく長期化してしまう可能性があります。

離婚の話し合いにおいては、離婚慰謝料・財産分与・養育費・婚姻費用(離婚までの間の生活費)などのお金のことや、親権・面会交流の条件(面会条件)などの子どものことなどといった多くの合意するべき点があります。

このような離婚の話し合いを、言ったことを簡単に破るタイプの相手と積み重ねていくことは、現実問題として極めて困難である場合もあります。

このような相手においても、調停委員といった裁判所に所属する第三者に対する発言には相当気を遣うこととなりますので、口先だけの発言・後から撤回されるような適当な発言を防止することが期待できます。

また、調停期日において夫婦間で離婚条件の合意が形成されて、離婚調停が成立した場合には、もう後から「やっぱなし」はありません

成立した調停合意の内容を後から覆すことはできません。

しかも、調停で合意が成立した内容は調停調書に記載されることになります。

そして、相手が調停調書に記載された内容通りの経済的給付(養育費・財産分与・離婚慰謝料・解決金・手切れ金・返済金などの支払い)をしなかった場合には、プラスαの裁判所における手続(調停・審判・裁判)を経ることなく、強制執行を実施することができるようになります。

強制執行を実施すれば、相手の預貯金口座や所有不動産などの資産を差し押さえてそこから強制的に経済的給付を受けたり、裁判所から相手の勤務先に連絡してもらって相手の給与債権を差し押さえて相手の勤務先から直接経済的給付を受けたりすることができます。

調停での合意にはこのような極めて強い効力がありますので、相手が口先だけのタイプの人間である場合には、協議離婚ではなく、調停離婚を目指すことを検討することが必要でしょう。

⑦相手に慰謝料を支払ってもらいたい場合

相手が浮気・不倫をしたことや、相手からDV・モラハラを受けていたことが夫婦の婚姻関係が破綻した原因となっている場合は、相手に対して慰謝料を請求することができます。

ただし、相手に慰謝料の支払いに合意してもらうことは難易度が高く、話し合いが難航する可能性があります。

特に相手が離婚することに消極的であったり、相手が慰謝料を支払う責任を否定していたりする場合には、当事者間での話し合いで有利な条件での離婚合意が成立する可能性は相当低いと言わざるを得ません。

その場合は、弁護士に依頼をして相手に対して相手が慰謝料を支払う法律上の責任を負っていることを明確に示したり、離婚調停を申し立てた上で調停委員という裁判所に所属する第三者から相手に働きかけてもらったりしつつ、離婚の話し合いを進めていくことが必要です。

⑧相手があなたのことを憎んでいる・あなたが要求しているから応じたくないと考えていると思われる場合

相手が感情的に凝り固まっており、あなたの求めを「あなたが求めているから」「あなたが希望しているから」という理由で応じたくないと考えているような場合もあります。

離婚問題では、このような状況は時折みられます。

このような状況に至った背景事情には様々なものがありますが、いずれにしても、相手が「あなたの思うように物事が進むことがどうしても我慢ならない」という心理状態になっている場合には、当事者間の離婚の話し合いは否応がなく難航する可能性があります。

ただ、そういう相手は、あなたに対しては強い態度で強弁な物言いをしてくるかもしれませんが、裁判所に所属する調停委員に対してはあなたに対して見せるような態度を取ることはできず、冷静な対応をしてくる場合があります。

また、相手があなたの求めを拒否する理由がただの感情論である場合には、それを第三者に面と向かって話をすることはできず、第三者に拒否の理由の説明をしなければならない状況に陥った際には、結局は折れて合意する方向に応じるようになることもあります。

調停委員は、どうにか合意させようと様々なことを検討して離婚の話し合いを取り持ってくれますので、そのような相手に対しては、時になだめ、時に共感を示しながら、相手が合意するように進めようと頑張ってくれることに期待できます。

3.離婚の話し合いが難航しそうな場合には

離婚問題は、当事者間で合意が成立すればそれだけで解決します。

ただ、それが難しい場合も多く、離婚の話し合いが長引くときは相当長引いてしまいます。

結局離婚調停に至るのであれば、早急に協議での離婚を諦めて離婚調停を申し立てておいた方が結果として早期に離婚が達成できたと思われる場合もよくあります

また、どうにか当事者間のみで話し合いを進めて解決しようとして、その結果感情的な対立が激しくなってしまい、結局のところ離婚調停を申し立てても合意が成立せず、離婚問題が離婚裁判までもつれ込んでしまうこともあります。

離婚問題が離婚裁判までもつれ込んでしまっているような場合でも、離婚の切り出し方などの初動を誤らなければ、もしかしたら協議離婚(少なくとも調停離婚)で離婚が成立していた可能性もあるところです。

離婚問題の進め方にはノウハウがあります。

早期かつ有利な離婚を達成するために、弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほど選択肢の幅が広がります

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この記事の執筆者

弁護士山﨑慶寛

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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