嫁姑問題を理由に離婚するには?離婚の進め方やポイントを弁護士が解説

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嫁姑問題+嫁を守らない夫=婚姻関係は赤信号

 「家族と折合いが悪い」ことは、その程度次第では離婚を決意するに足りる事情であり、離婚調停の申立書の「申立ての動機」の欄にも「家族と折り合いが悪い」との項目があります。
 「家族と折合いが悪い」こととなる原因として最も多いのが、嫁姑問題です。
 嫁姑問題により夫婦の婚姻関係が破綻してしまう最たる理由は、夫の言動にあります。
 特に夫にマザコン夫の気質がある場合は、夫は嫁姑問題の渦中で妻よりも母親(姑)の味方をし、嫁姑問題はマザコン夫の強力な援護射撃と主体的な背信行動により離婚問題へと発展していきます。

1.嫁姑問題は夫婦の婚姻関係が破綻するきっかけとなる

離婚調停の申立書には「申立ての動機」という欄があり、そこには、「※当てはまる番号を◯で囲み、そのうち最も重要と思うものに◎を付けてください。」として、以下の13項目の記載がされています。

離婚調停の申立書の「申立ての動機」

1 性格があわない
2 異性関係
3 暴力をふるう
4 酒を飲みすぎる
5 性的不調和
6 浪費する
7 病気
8 精神的に虐待する
9 家族をすててかえりみない
10 家族と折合いが悪い
11 同居に応じない
12 生活費を渡さない
13 その他

裁判所・夫婦関係調整調停(離婚)の申立書

「10 家族と折合いが悪い」という離婚調停の申立ての動機には、①自分と配偶者(夫・妻)の家族との関係が悪いので離婚したいということと、②夫・妻が自分の家族と関係が悪いので離婚したいという2つの方向性があります。

具体例で説明

「①自分と配偶者(夫・妻)の家族との関係が悪いので離婚したい」の具体例
夫の両親(舅・姑)が何かにつけて夫婦の生活に口を挟んで文句を付けてくることに耐えられないので離婚したい。

「②夫・妻が自分の家族との関係が悪いので離婚したい」の具体例
妻が自分の両親のことを快く思っておらず、本来夫婦で出席するべき行事にも出席しなかったり、文句や悪口を言うなどの行動を繰り返しているので離婚したい。

いずれの方向性にしても「家族と折合いが悪い」ことは夫婦の婚姻関係の破綻に繋がり、離婚を決断する十分な理由となるものであり、そのことはいわば裁判所からのお墨付きが与えられているようなものです。

そして、「家族と折合いが悪い」こととなる原因として最も多いのが、嫁姑問題です。

この記事では、嫁姑問題を理由とする離婚について解説します。

2.嫁姑問題の渦中に夫は誰の味方をするか

本来、夫婦の婚姻関係において優先されるべきは姑の意見ではなく妻の意見です。

妻からすれば、夫には母親(姑)ではなく、自分の味方をしてもらいたいと思うのも当然です。

夫が、母親(姑)との対立も辞さずに妻の味方をすれば、嫁姑問題は悪化せずに、解消することも多いでしょう。

しかし、残念ながら、嫁姑問題の解消に積極的に乗り出してくれる夫は極めて少ないものです。

往々にして夫は自分の母親(姑)の意見を強く否定したり拒絶したりすることができず、妻と母親(姑)のどちらの肩をも持つかのような中途半端な対応をしがちです。

夫は妻の憤りや苛立ちを本質的に理解することのないまま、妻に対して母親(姑)の肩を持つような発言をしてきます。

その結果、嫁姑問題が本質的に解消することはないところか、どんどん悪化していき、事あるごとにぶつかり合いが起き、その都度中途半端な夫の対応にガッカリさせられることもよくある話です。

特に、マザコン夫であった場合は、夫にとって母親(姑)は従うべき存在ですので、夫は明らかに母親(姑)の味方をしてきます

例えそれが客観的に見れば明らかに姑が嫁いびりをしているとしか思われない状況であったとしても、マザコン夫は母親(姑)を批判も否定もせず、どうにか母親(姑)の言動を肯定をしようと妻に対してびっくりするようなあり得ない発言をしてきたりします。

そのような夫の対応に、妻は非常に強いストレスと失望感を感じるものでしょう

そうして、嫁姑問題はマザコン夫の強力な援護射撃と主体的な背信行動により離婚問題へと発展していきます。

3.嫁姑問題を理由に離婚を検討している場合

嫁姑問題を理由に離婚を検討している場合は、夫に対して、嫁姑問題について深く悩んでおり、その解消に真剣に取り組んでもらいたいとしっかりと伝えましょう。

それに対して、夫が真剣に取り扱ってくれなかったり、母親(姑)の肩を持って我慢を強いるような発言をしてきたり、母親(姑)と作戦会議を始めたりするような場合には、もはや夫婦の婚姻関係は赤信号と言わざるを得ません

一向に解消に向かわない嫁姑問題や、不誠実な対応を繰り返して変わらない夫との関係に疲れ、夫との離婚の決意が固まったら、夫との間で離婚の話し合いを開始していくことになります。

4.離婚するまでの生活費・離婚後の生活費の問題

夫との離婚を決断したとしても、いざ離婚に踏み出そうとする際に大きな問題として立ちはだかることがある問題として、離婚するまでの生活費・離婚後の生活費の問題があります。

この点については、離婚するまでの間の生活費は、夫から婚姻費用を支払ってもらうことで目処が立つことも多く、また離婚後の生活費に関しては離婚条件(財産分与・慰謝料・解決金・養育費など)や離婚後の公的支援の利用によって目処が立つことも多いものです。

離婚と生活費の問題については以下の記事で詳しく解説をしていますので、併せてご確認ください。

5.嫁姑問題を理由とする夫との離婚の進め方

⑴別居するかどうかを検討する

夫が離婚することに合意するのであれば、夫と同居したまま離婚の話し合いを進めて早期に協議離婚(離婚すること及び離婚条件について夫婦が話し合って合意して離婚を成立させる離婚の方法)の成立に至る可能性があります。

協議離婚は夫婦の双方が離婚することに同意した上で役所に離婚届を提出するだけで成立しますので、相手との間で離婚すること及び離婚条件の合意が形成できるのであれば、協議離婚が最も早期に離婚することができる方法です。

協議離婚の成立要件や注意点については【協議離婚とは?協議離婚の成立要件や離婚協議書の重要性を弁護士が解説】をご確認ください。

また、離婚の協議の際に夫との間で話し合いをして決めていくこととなる具体的な内容や離婚問題を有利に進めるためのポイントは【離婚の際に抑えるべきポイント】をご確認ください。

ただ、夫が離婚に合意してくれなかったり、離婚条件に関する話し合いがこじれそうであったりする場合は、別居ができるのであれば別居した方が良いでしょう。

後述しますが、「嫁姑問題」・「家族と折合いが悪い」ということ自体は法定離婚原因ではなく、それが存在しているというだけでは裁判所に離婚の判決を出してもらえません。

そのため、離婚問題が離婚裁判にまで発展した場合には、離婚判決を得るためは別居期間が決め手の一つとなる場合も多いです。

また、別居後は事実上離婚後と同じ生活状況に至りますので、夫としてももはや現状維持では何らの改善もあり得ないことを痛感せざるを得なくなり、夫に離婚問題に真剣に向き合わせることができることが期待できます(特に夫に婚姻費用の請求ができる場合であれば尚更、夫に、離婚することを前提として、離婚問題に真剣に向き合わせることが期待できます。)。

このように、離婚の話し合いにおいては、早めに別居を開始することのメリットは大きいです。

別居に伴う経済的な負担の増加や別居後の生活費問題に関しては、別居と同時に婚姻費用を請求することでカバーできる場合もありますので、その方向性を検討することも有用です。

婚姻費用について詳しくは【夫婦に関するお金の知識-婚姻費用】をご確認ください。

どうしても別居することが難しい場合は、同居したままで離婚の話し合いを進めることとなります。

⑵同居したままで離婚の話し合いを進める場合の注意点

同居したままで離婚問題を進めることには、夫による突発的・感情的な言動の被害を被ってしまうリスクが常に付き纏います。

また、子どもがいる場合には、子どもに離婚問題について夫婦が言い争っている様子を見られてしまう可能性もあります。

このようなリスクを最小限にとどめるための方法としては、早めに離婚調停を申し立てた上で、相手との間で、「離婚に関する事項は自宅内ではお互いに一切せずに全て離婚調停の期日でのみ話し合うこととする」といった話し合いの交通整理を行うことが有用です。

この点に関して詳しくは【離婚調停で離婚を有利に!離婚調停を早期に申し立てた方が良いケース・④相手と同居中の場合】をご確認ください。

⑶離婚の話し合いがまとまらない場合

離婚調停→離婚裁判

夫との間で離婚の話し合いがまとまらない場合には、離婚調停を申し立てて離婚の話し合いを進めることとなります。

なお、協議離婚の成立を早急に諦めて離婚調停を申し立てた方が結果として早期に有利な条件で離婚が達成できると思われる場合もありますので【離婚調停で離婚を有利に!離婚調停を早期に申し立てた方が良いケース】もご確認ください。

離婚調停を実施しても離婚の合意が成立しなかった場合には、離婚裁判の提起を検討することとなります。

離婚成立に向けた手続きの流れ

    ↓ 話し合いがまとまらなければ

  • 調停離婚」(特殊なものとして「審判離婚」)

    ↓ 成立しなければ

離婚裁判でのポイント

離婚裁判で離婚判決を出してもらうためには、裁判所に、法律に定められている離婚原因(法定離婚原因)が存在していることを認めてもらう必要があります。

しかしながら、法定離婚原因は以下の5つであり、「嫁姑問題」・「家族と折合いが悪い」こと自体は法定離婚原因ではありません

法定離婚原因(民法770条1項)

  1. 「配偶者に不貞な行為があったとき」(1号)
  2. 「配偶者から悪意で遺棄されたとき」(2号)
  3. 「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」(3号)
  4. 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(4号)
  5. 「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)

嫁姑問題を理由とする夫との離婚裁判は、「婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)の存否を巡る争いとなります。

ここで重要なことは、離婚裁判で問題となるのは夫婦の関係性ですので、離婚裁判ではあくまでも夫の言動が最重要な問題点となるということです。

姑から受けた様々な言動は、配偶者である夫が直接行なった言動ではありません。

そのため、姑からどれほど酷いことをされており、姑との関係がどれほど劣悪なものであったとしても、そのことで直ちに配偶者である夫との間で「婚姻を継続し難い重大な事由がある」とされるわけではありません。

肝心な点は、そのような姑の言動によって夫婦の婚姻関係が悪化していったことの責任が夫にあるかどうか、言い換えると、夫がそのような状況を認識しながら改善に向けた具体的な行動をせず、その結果として夫婦の婚姻関係が破綻に至ったといえるかどうかです。

夫婦は婚姻関係を良好に維持するために尽力していく義務を互いに負っています (最高裁判所判決昭和38年10月24日参照)。

それにも関わらず、夫が、妻が苦しんでいる状況の改善を自身が取り組むべき問題であると認識せずに放置し、むしろ姑の肩を持つなどの妻の苦しみが助長するような言動を行い、その結果、夫婦の婚姻関係が破綻したといえる場合であれば、「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在すると認められる可能性は十分にあります。

なお、「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る離婚裁判の特徴や具体的にどのようなことを行っていくこととなるのかについては、【離婚裁判で激しい争いとなりやすい典型的な5つのケースを解説します・③「婚姻を継続し難い重大な事由」の存否を巡る争いがあるケース】をご確認ください。

6.夫の母親(姑)との関係から解放されるために

嫁姑問題を理由とする離婚問題は、夫側にその深刻さの認識が薄いことも多く、離婚を切り出しても話し合いが空転してしまうことも多いです。

そのため、離婚問題の進め方次第では離婚紛争の長期化を招いてしまう可能性があります。

また、具体的な事情によっては夫に対して離婚慰謝料を請求できる場合もありますが、そのことを夫に認識させて慰謝料を支払ってもらうことが難しい場合も多く、有利な条件での離婚合意を得るためには婚姻費用の支払い状況などを踏まえた上での交渉上の様々な工夫が必要となってくることも多いです。

さらに、嫁姑問題を理由とする離婚紛争が離婚裁判に至った場合に離婚判決が出される状況かどうかの見通しが極めてつきにくいものでもあり、少しでも離婚判決を獲得する可能性を高めるためには嫁姑問題以外の夫婦間の事情を適切に主張するなどといった様々な考慮や工夫が必要となります。

レイスター法律事務所では、無料相談にて、姑との不和・軋轢の状況、同居・別居の別、婚姻費用の金額や支払い状況、子どもの有無などの具体的な状況に応じて、夫との間でどのように離婚問題を切り出していくことが良いか、最終的にどの程度の譲歩が必要となるのか、離婚慰謝料の請求ができるか、離婚裁判に踏み切った場合に離婚判決が出される見込みがどの程度あるかなどについて具体的かつ実践的なアドバイスを行っています。

嫁姑問題でお悩みの際は、是非、こちらからお気軽にご連絡ください。

     

この記事の執筆者

弁護士法人レイスター法律事務所
代表弁護士 山﨑慶寛

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